吹奏楽のためのスケルツォ 第2番 ≪夏≫

吹奏楽のためのスケルツォ 第2番 ≪夏≫

「吹奏楽のためのスケルツォ 第2番 ≪夏≫（Scherzo for Wind Orchestra No.2 “The Summer”）」は、作曲家・鹿野草平によって作曲され、2010年度の全日本吹奏楽コンクール課題曲として選ばれた作品です。

概略

この作品は、第2回全日本吹奏楽連盟作曲コンクールで第1位を受賞しました。コンクールの課題曲としては、高校、大学、職場、一般の部で選択可能でした。

曲名に「第2番」とあるのは、前年に作曲された「吹奏楽のためのスケルツォ 第1番」が、第1回全日本吹奏楽連盟作曲コンクールで第2位を受賞したことに由来します。なお、第1番は既に発表されており、CDもリリースされています。

作曲当初、副題である「夏」は設定されていませんでした。作曲者自身が試奏した際、楽曲の持つ音が「アツすぎる」と感じたため、この副題が加えられたと述べています。解説によると、作曲にあたっては、変拍子と荒々しい旋律を用いることで、吹奏楽に時に暴力的とも言えるほどの活力を与えることを目標としたとのことです。

特徴的な点として、編成にドラムセットが含まれています。課題曲の編成にドラムセットが用いられたのは、1989年度の『ポップス・マーチ「すてきな日々」』以来、21年ぶりのことでした。

作曲者は、EL&Pのようなプログレッシヴ・ロックや、水野修孝のような多様式主義からの影響を語っていますが、楽曲には2000年代の日本の現代視覚文化への強いリスペクトが感じられるフレージングが数多く見られます。これらのフレージングは主に「打ち込み」と呼ばれる作業で入力された音符で構成されているため、吹奏楽で演奏するのは非常に困難です。シンクラヴィアを用いて作曲されたフランク・ザッパの「G-Spot Tornado」を、ザッパ自身がアンサンブル・モデルンバージョンへと編曲した際の困難に似た効果が表れています。

曲の構成

楽曲は、冒頭から激しく拍子が変化しながら、速いテンポで展開していきます。練習記号3からは激しさを増し、トランペットやサクソフォーンセクションが主体となり、木管楽器やドラムが細かく動きます。練習記号4からは、多数のソロが登場します。練習記号8では、練習記号3と同様の展開となりますが、木管楽器の動きがさらに激しさを増します。練習記号9からは、チューバのソロとなり、穏やかなメロディーが奏でられます。また、パーカッションでは風鈴が用いられます。練習記号13からは再び激しい動きとなり、楽曲は進行していきます。練習記号20では、ドラムセットのソロが記譜されています。このドラムセットソロは、オリヴィエ・メシアンの「トゥランガリラ交響曲」の第5楽章のピアノソロからインスパイアされたものです。その後、練習記号21でテンポが緩やかになりますが、練習記号22で再び速くなります。最後はリタルダンドをかけ、フェルマータで音を伸ばしながら、フォルテシモで終結します。この終結部は、メシアンの「トゥランガリラ交響曲」を意識した構成となっています。

編成

打楽器はパートの順番に並べています。同じ楽器が2回以上使われているものは省略しています。

フルート
ピッコロ
オーボエ
クラリネット
ファゴット
サクソフォーン
トランペット
ホルン
トロンボーン
ユーフォニアム
テューバ
コントラバス
ドラムセット
パーカッション

脚注

全日本吹奏楽連盟作曲コンクール入賞作品

参考文献

作曲者のコメント
作者からのエッセイが収められた会報
全日本吹奏楽コンクール課題曲用フルスコア
* メシアンのTurangalîla-symphonie (Rev. 1990, Paris: Durand, 1992)フルスコア

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