吾嬬町

吾嬬町（あづまちょう）とは

吾嬬町は、かつて東京府南葛飾郡に存在した町で、現在の東京都墨田区の東部に位置していました。この地域は、1889年（明治22年）に周辺の複数の村が合併して誕生した吾嬬村が、1912年（大正元年）に町制を施行したことにより成立しました。吾嬬町は、その後の変遷を経て、1932年（昭和7年）に東京市に編入され、向島区の一部となり、その歴史を終えました。

沿革

吾嬬町の歴史は、1889年（明治22年）の町村制施行に始まります。この時、小村井村、葛西川村の全域と、請地村、寺島村、大畑村、亀戸村、須崎村のそれぞれ一部が合併し、吾嬬村が発足しました。その後、1912年（大正元年）に吾嬬村は町制を施行し、吾嬬町となりました。

1914年（大正3年）には、荒川放水路の設置に伴い、大木村の一部が編入され、町域が拡大しました。また、1929年（昭和4年）には、寺島町との間で町界の変更が行われ、現在の吾嬬町の範囲が確定しました。

1930年（昭和5年）には、それまでの8つの大字とそれに付随する小字を廃止し、東一丁目から八丁目、西一丁目から九丁目までの17の大字を新たに設置しました。これにより、地域がより明確に区分されました。

1932年（昭和7年）には、南葛飾郡全域が東京市に編入され、吾嬬町は向島区の一部となりました。この時、17の大字の上に「吾嬬町」を冠した17町が設置されました。

1947年（昭和22年）には、向島区が本所区と合併して墨田区が新設され、吾嬬町の領域は墨田区の一部として現在に至っています。

地名の由来

吾嬬町の名前は、近隣地域にある吾嬬神社に由来しています。吾嬬（あづま）という名称は、「わが妻」を意味するとされています。

行政

吾嬬町の町長は、大沢梅次郎が務めていました。

人口

吾嬬町の人口は、以下のように推移しました。

1920年（大正9年）：30,660人
1925年（大正14年）：59,921人
1930年（昭和5年）：80,985人

経済

地主

吾嬬町には、多くの地主が存在しました。主な地主として、小宮市太郎、小宮作次郎、小宮茂次郎、小宮忠太郎、小宮藤太郎、小宮藤五郎、小宮仁三郎、小宮安太郎などがいました。

産業

吾嬬町には、アズマックスという企業が存在しました。

交通

鉄道

吾嬬町には、以下の鉄道が通っていました。

東武鉄道
亀戸線：十間橋通駅 - 虎橋通駅 - 天神駅 - 小村井駅 - 平井街道駅（現在の東あずま駅）
京成電気軌道（現在の京成電鉄）
押上線：荒川駅（現在の八広駅）

現在の地名

吾嬬町の範囲は、現在の墨田区の文花、立花、東墨田、押上一丁目、三丁目、京島二丁目、三丁目、八広二丁目、三丁目、四丁目、六丁目といった地域におおよそ該当します。

出身人物・ゆかりのある人物

吾嬬町にゆかりのある人物として、小説家の清水一行と上野歩がいます。

参考文献

交詢社編『日本紳士録 第40版』交詢社、1936年。

関連項目

* 東京都の廃止市町村一覧

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