吾平津媛

吾平津媛（あひらつひめ）

概要

吾平津媛（あひらつひめ）は、生没年不詳の古代日本の人物です。『古事記』では阿比良比売（あひらひめ）と記されています。『日本書紀』によれば、日向国（現在の宮崎県）の吾田邑（あがたのむら）の出身とされています。

名称

名前に含まれる「媛（ひめ）」は、古代における女性への敬称です。詳細は「ヒメ」の項目を参照してください。

系譜

吾平津媛の両親について、『古事記』や『日本書紀』には具体的な記載はありません。

『古事記』では、「阿多之小椅君（あだのおはしきみ）」の妹とされています。また、『古事記』には、火照（ほでり）の子孫に「隼人阿多君（はやとあだのきみ）」という人物も登場します。
『古代豪族系図集覧』によると、吾平津媛の兄には、阿多小橋君の祖である天曽利（あまそり）がいたとされています。
「阿多之小椅君」は、『日本書紀』に火闌降（ほあかり）の子孫として登場する「吾田君小橋（あがたのきみおはし）」と同一人物であると考えられています。このことから、火闌降の子孫である隼人との関連が指摘されています。

結婚と子女

夫：神武天皇
『日本書紀』によると、神武天皇（当時は皇太子）は、東征を行う前に日向にいた時、吾平津媛を妃として迎えました。
『古代豪族系図集覧』では、吾平津媛を火闌降の娘としており、この説に従うと、神武天皇と吾平津媛はいとこ違いの関係になります。
子：手研耳命（たぎしみみ）
『日本書紀』に登場し、『古事記』では多芸志美美（たぎしみみ）と記されています。
神武天皇の崩御後、皇太子である神渟名川耳（かむぬなかわみみ）に対して反乱を起こしましたが、鎮圧され殺害されました（タギシミミの反逆）。
子：岐須美美命（きすみみ）
『古事記』に登場し、『先代旧事本紀』では研耳（きのみみ）と記されています。『日本書紀』には記載がありません。
子：神八井耳命（かむやいみみ）
『皇胤志』によると、手研耳命の同母弟とされています。

記録

『日本書紀』には、神武天皇が東征を開始する前に、日向で吾平津媛を妃としたことが記されています。この記録は、吾平津媛が神武天皇の妃として重要な役割を果たしたことを示唆しています。

脚注

出典

参考文献

近藤敏喬 編『古代豪族系図集覧』東京堂出版、1993年、6頁。ISBN 4-490-20225-3
デジタル版 日本人名大辞典+Plus『吾平津媛』 - コトバンク
喜田貞吉『日向国史　古代史』（東洋堂）

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