呂光

呂光（りょ こう）：後涼を築いた勇将の生涯

呂光（337年 - 399年）は、五[[胡十六国時代]]の後涼を建国した人物です。前秦の勇将として数々の武功を挙げ、西域征伐で全域を支配下に置きましたが、その後の混乱期に涼州を掌握し、自立しました。しかし、その治世は反乱の連続であり、安定とは程遠いものでした。

前秦の勇将として

呂光は、前秦の重臣であった呂婆楼の子として生まれました。当初は美陽県令として優れた統治手腕を発揮し、漢人、胡人問わず人々に慕われました。その後、中央に復帰し、鷹揚将軍に任じられます。

358年、苻堅による張平討伐に従軍した際、張平の養子である張蚝を生け捕りにする功績を挙げ、その武名を轟かせました。その後も、寧朔将軍として、苻双や苻武らの反乱鎮圧に奔走し、その軍事的才能を遺憾なく発揮しました。

371年の前燕征伐にも参加し、王猛の下で数々の戦功を挙げ、都亭侯に封じられました。その後、苻重の反乱を鎮圧したり、李烏の反乱を鎮圧するなど前秦への忠誠を示しました。

西域征伐と後涼の建国

382年、呂光は西域征伐を命じられ、10万の兵を率いて出発します。鄯善や車師などの国の兵を加え、西域諸国を次々と平定していきました。384年には、亀茲を攻略し、その地の文化や財宝に触れました。西域を安撫し、その威名を轟かせた呂光は、諸国からの朝貢を受け、その勢力を拡大しました。

385年、呂光は鳩摩羅什の助言を受け、東帰を決意します。しかし、その帰路で前秦の混乱を知り、涼州に割拠する道を選びました。386年に姑臧に入城し、涼州刺史を自称して勢力を確立していきます。当初は前秦への臣従の姿勢を取りながらも、次第に独立の道を歩み始めました。

396年、呂光はついに天王を称し、国号を大涼と定めました。ここに、後涼が正式に建国されたのです。しかし、その治世は決して安泰ではありませんでした。

相次ぐ反乱と苦悩

後涼の建国後、国内では反乱が頻発しました。鮮卑族の禿髪烏孤が南涼を建国し、北方の沮渠蒙遜が北涼を建国するなど、各地で自立の動きが活発化しました。また、後涼内部でも、郭黁の反乱や楊軌の挙兵など、内紛が絶えませんでした。

呂光はこれらの反乱を鎮圧するために奔走しましたが、その勢いを止めることはできませんでした。晩年は病に倒れ、後継者である呂纂に後事を託しましたが、その呂纂もまた、簒奪によって政権を奪取するなど、後涼の未来は混迷を極めました。

399年、呂光は63歳でこの世を去りました。その生涯は、前秦の勇将として始まり、後涼の建国者として終わりましたが、その治世は安定とは程遠いものでした。しかし、その武勇と統率力は、後世に語り継がれることとなりました。

人物像と逸話

呂光は、幼い頃から乗馬や鷹狩りを好み、成長すると身長八尺四寸の堂々たる体躯になったと伝えられています。また、その目は重瞳であり、左肘には印が刻まれていたといいます。深沈厚重な人柄で、寛大にして度量が大きく、あまり感情を表に出さなかったと評されています。宰相の王猛は、その非凡さを見抜き、苻堅に推薦したといいます。

呂光には、数々の逸話が残されています。生まれた夜に神光が降り注いだことや、西域征伐の際に水不足に苦しむ兵士たちを励ましたところ、たちまち大雨が降ったことなど、その人徳を示すエピソードが数多く伝えられています。

呂光は、中国史上における一人の英雄として、その名を刻んでいます。

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