呂婆楼

呂婆楼（りょ ばろう、生没年不詳）は、五胡十六国時代の前秦に仕えた人物で、字は広平といい、略陽郡出身の氐族でした。彼は、後涼の創建者である呂光の父としても知られています。

生涯

呂婆楼の先祖である呂文和は、元々沛郡に住んでいましたが、前漢の文帝の時代に難を避けて略陽に移住しました。以来、呂婆楼の一族は代々その地で勢力を持ち、豪族として繁栄しました。

同じ氐族出身の苻健が関中に割拠すると、呂婆楼は苻健の傘下に入りました。351年1月、苻健が天王を称して前秦を樹立すると、呂婆楼は散騎常侍に任じられ、その政権を支えました。

355年に苻健が亡くなり、子の苻生が位を継ぐと、呂婆楼は355年8月に侍中・左大将軍に任じられました。また、時期は不明ながら尚書にも任じられています。

苻生の治世は暴虐であり、薛讃や権翼らは東海王苻堅に対し、苻生を廃して自ら即位するよう勧めました。苻堅はかねてより呂婆楼と親交があったため、この件について呂婆楼に相談しました。呂婆楼は、「自分は単なる武人に過ぎず、大事を成し遂げるには力不足である。しかし、私の故郷には王猛という傑物がおり、その知略は並外れている。殿下は彼に相談し、教えを請うべきである」と進言しました。苻堅は呂婆楼の勧めに従い、王猛を招聘しました。苻堅は王猛と会うと、まるで旧知の友人のように厚遇し、やがて彼を重用して国政を委ねるようになりました。

357年6月、苻生暗殺計画が実行に移されると、清河王苻法、梁平老、強汪らが兵を率いて雲龍門から突入しました。呂婆楼は苻堅と共に兵を率いてこれに応戦し、苻生を討ち果たしました。苻堅が天王に即位すると、呂婆楼はその功績により司隷校尉に任じられました。呂婆楼は王猛、強汪、梁平老らと共に苻堅を補佐し、その覇業を支えました。彼らは共に王佐の才を持つと称えられ、呂婆楼はやがて太尉にまで昇りつめました。没年は不詳です。

子の呂光が後涼を建国すると、呂婆楼は景昭王と追諡されました。

評価

前涼の涼州牧張瓘が前秦からの使者である閻負・梁殊に対し、前秦にはどのような名臣・名将がいるか尋ねた際、閻負らは才識明達で法に厳格な人物として呂婆楼の名を挙げています。

子

呂光 - 後涼の創建者。武懿帝。
呂徳世 - 呂光の弟
呂延 - 呂光の弟。天水公に封じられた。
呂宝 - 呂光の弟。右将軍に任じられた。

参考文献

『晋書』載記第13　苻堅載記上　載記第14　苻堅載記下　載記第22　呂光載記
『資治通鑑』巻099-100
* 『十六国春秋』巻42

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