後涼

後涼（こうりょう）

後涼（386年 - 403年）は、五胡十六国時代に氐族出身の呂光によって建てられた国です。

歴史

建国期

建国者の呂光は、前秦の功臣として数々の武功を立てました。苻堅が東晋征討を図った際、呂光は西域遠征を命じられ、384年に亀茲を征討。鳩摩羅什を庇護下に置きます。苻堅は鳩摩羅什の身柄確保を命じていたとされます。呂光は更なる西征を諦め帰還。高昌郡太守楊翰を降伏させ高昌を征しました。呂光は、淝水の戦いでの前秦軍の敗北を知ります。

東進した呂光は玉門に入り、涼州刺史梁熙を破ります。姑臧に入った呂光は、涼州刺史・護羌校尉を名乗り事実上の自立政権を打ち立てました。386年9月には、苻堅の死を知り、文昭皇帝の諡号を贈っています。10月、呂光は太安と改元し、酒泉公を自称し後涼を建国しました。

勢力拡大と全盛期

387年1[[2月]]、張天錫の世子の張大豫の軍を破り、旧前涼の支配地域をほぼ掌握。389年2月に三河王を自称し、396年6月には国号を大涼と定め天王位に就きました。呂光は周辺諸国と争い勢力を拡大。西秦と交戦し392年8月には西秦の首都金城を落とし、395年7月には西秦を服属させました。

衰退期

397年1月、呂光は再度金城を攻撃しますが西秦の反撃を受けて敗北。この敗戦で後涼東南部では鮮卑が南涼を、5月には建康郡太守段業らが反乱を起こして北涼を建国。後涼の勢力は大幅に縮小しました。8月には楊軌による反乱も起こり、この反乱は鎮圧しましたが、後涼は衰退しました。

呂光は399年1[[2月]]、死の直前に太上皇帝となり、間もなく死去しました。

滅亡期

呂光の死後、皇位継承争いが相次ぎました。呂光の跡を継いだ嫡子の呂紹は即位してから5日で兄の呂纂に自殺させられました。呂纂は400年3月に南涼を攻撃するも敗退。6月に北涼を攻撃するも南涼に攻撃されたので敗退し、勢力拡大には失敗しました。呂纂も401年2月に従弟の呂超と呂隆に殺害され、呂隆が即位しました。

内紛続きの後涼に対して、7月には後秦の高祖姚興の攻撃を受けて姑臧が包囲され9月に降伏。呂隆は姚興から建康公に封じられました。403年7月、南涼と北涼の挟撃を受けたため、8月に自ら臣従して後秦の軍勢を迎え入れるために長安に赴き、後涼は完全に滅亡しました。

呂隆は助命されて散騎常侍として用いられましたが、後秦末期の騒乱の中で416年に殺害されました。

国家体制

呂光は氐族を中心とした体制を敷き、要職には五胡が就任し漢族は冷遇されました。後涼国内では漢族が常に反乱を起こし、後涼の勢力基盤は不安定でした。

後涼の君主

太祖懿武帝（呂光、在位386年 - 399年）
隠王（呂紹、在位399年）
霊帝（呂纂、在位399年 - 401年）
後主（呂隆、在位401年 - 403年）

呂光は以下の称号を称しました。

385年9月から386年10月まで：涼州刺史・護羌校尉
386年10月から389年2月まで：酒泉公
389年2月から396年6月まで：三河王
396年6月から：天王
399年1[[2月]]：太上皇帝

元号

太安（386年-389年）
麟嘉（389年-396年）
龍飛（396年-398年）
承康（不詳）
咸寧（399年-401年）
神鼎（401年-403年）

参考文献

三崎良章『五胡十六国 中国史上の民族大移動』東方書店、2002年2月。

関連項目

五胡十六国時代
前涼
南涼
西涼
北涼
車師
鄯善
焉耆

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