呂隆

呂隆（りょ りゅう）は、五胡十六国時代の後涼において、第4代にして最後の天王となった人物です。彼の生涯は、激動の時代を象徴するかのように、権力闘争と外敵の侵略に翻弄されました。

生い立ちと即位

呂隆は、後涼の創始者である懿武帝呂光の弟、右将軍呂宝の子として生まれました。咸寧3年（401年）、叔父にあたる第3代天王呂纂が、呂隆の弟である呂超らによって暗殺されるという事件が発生します。この混乱の中で、呂超らは呂隆を擁立し、彼は天王の座に就くこととなりました。

天王としての苦悩

しかし、このような経緯で天王となった呂隆の地位は、非常に不安定なものでした。国内の勢力争いは絶えず、天王としての力を十分に発揮することができませんでした。その状況下で、後涼は外からの脅威にもさらされることとなります。

後秦の侵攻と降伏

神鼎3年（403年）、強国である後秦の文桓帝姚興による侵攻を受け、後涼は滅亡の危機に瀕します。呂隆は抗戦を試みますが、圧倒的な軍事力の前に抵抗はむなしく、ついに姚興に降伏せざるを得ませんでした。これにより、後涼は完全に滅亡し、呂隆は文桓帝のもとに連行され、長安へと送られることとなります。

姚弼の謀反と最期

降伏後、呂隆は後秦の都である長安で生活を送ることになります。弘始18年（416年）、文桓帝の次男である広平公姚弼が謀反を企てます。この事件に巻き込まれ、病床にあった文桓帝の命令によって呂隆は殺害されるという悲劇的な最期を遂げました。

呂隆の生涯は、激動の五胡十六国時代を生き抜いた一人の君主の苦悩と悲劇を物語っています。彼は、自らの意思とは関係なく天王の座に就き、外敵の侵略によって国を失い、最後は政争の犠牲となって命を落としました。彼の短い統治期間は、後涼という国家の衰退と滅亡を象徴する出来事として、歴史に刻まれています。

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