呉新田

呉新田（ご しんでん）は、中華民国の軍人であり、北京政府の安徽派に属していました。字（あざな）は豈蓀（きそん）です。

事績

呉新田は保定陸軍速成学堂を卒業後、北洋第6鎮に任官しました。1913年（民国2年）には、陸軍第6師第3混成旅で団長に任命され、着実にキャリアを積み重ねていきます。翌1914年（民国3年）には、張敬尭（ちょう けいぎょう）が率いる陸軍第7師歩兵第14旅の旅長に昇進しました。

1918年（民国7年）11月、呉新田は湖南省において岳陽鎮守使（がくようちんじゅし）を兼任することとなりました。そして1920年（民国9年）には、張敬尭の後任として、ついに第7師師長に昇進を果たします。

1921年（民国10年）、呉新田は第7師を率いて陝西省（せんせいしょう）に進駐し、同年12月には陝南鎮守使（けんなんちんじゅし）を兼任しました。1922年（民国11年）には、その功績から藩威将軍（はんいしょうぐん）の位を授けられ、翌1923年（民国12年）3月には、陸軍上将銜（りくぐんしょうしょうけん）の位を授与されました。

しかし、1925年（民国14年）5月、執政の段祺瑞（だん きずい）から陝西督弁（せんせいとくべん）に任命されたことが、呉新田の運命を大きく変えることになります。彼が率いる兵士が、地元の中学校のサッカー部員とトラブルを起こし、これがきっかけとなり、民衆の間で呉新田の辞任を求める大規模なデモが発生したのです。同年7月、馮玉祥（ふう ぎょくしょう）配下の孫岳（そん がく）が率いる国民第3軍は、この混乱に乗じて陝西省への軍事侵攻を開始しました。呉新田は抵抗することができず、同年8月に下野し、陝西督弁の地位は孫岳に移りました。翌1926年（民国16年）には、陝西省から完全に駆逐され、天津（てんしん）へと逃れました。

その後、国民政府により、1928年（民国17年）11月に河南省政府委員（かなんしょうせいふいいん）に任命され、翌年までその地位にありました。しかし、これを最後に政治・軍事の世界からは引退し、天津で静かに暮らしました。日本による傀儡政権から再任用の打診がありましたが、彼はこれに応じませんでした。

1945年（民国34年）2月16日、呉新田は天津において脳溢血（のういっけつ）により死去しました。享年は60歳（満58歳）でした。

参考文献

徐友春主編『民国人物大辞典 増訂版』河北人民出版社、2007年。ISBN 978-7-202-03014-1。
劉寿林ほか編『民国職官年表』中華書局、1995年。ISBN 7-101-01320-1。
* 張翔「关于吴新田」『今晩報』（副刊）、2013年10月6日、9面。

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