呉氏長沙国

呉氏長沙国は、前漢時代に設置された藩国であり、呉芮が長沙王に封じられたことで成立しました。後代に劉発が長沙国王に封じられたため、区別する意味で「呉氏長沙国」と呼ばれます。

前漢の成立後、高祖劉邦は建国に貢献した8名を諸侯王に封じました。その際、呉芮は長沙王に封じられ、長沙国が誕生しました。同時期に封じられた他の諸侯王、例えば韓信、彭越、英布、韓王信、臧荼らは、後に劉邦によって粛清されました。しかし、呉芮は漢朝への忠誠を尽くし、粛清を免れました。この忠誠心は、呉芮の女婿であった淮南王・英布が反乱を起こした際にも示されました。呉芮の子である呉臣は、この反乱の鎮圧に大きく貢献し、呉氏一族の忠誠を証明しました。

呉氏は、呉芮から数えて5代にわたり、合計46年間長沙国を統治しました。しかし、前157年に呉著が後継者のないまま亡くなったため、呉氏長沙国は廃止されることとなりました。

呉氏長沙国の存在は、前漢初期の政治情勢と、劉邦による諸侯王の統制策を理解する上で重要な事例です。呉芮のように、漢朝への忠誠を貫き、その地位を保った例は稀であり、彼の功績と戦略的な判断が、呉氏一族の繁栄をもたらしたと言えるでしょう。また、呉氏長沙国の終焉は、中央集権化を進める漢王朝の政策の一環であり、地方勢力の弱体化を図る意図が読み取れます。

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