諸侯王

諸侯王（しょこうおう）

諸侯王とは、中国において皇帝によって封じられた王号を持つ諸侯・貴族を指す歴史用語です。

概要

この言葉は、中国の皇帝の臣下である王を、独立国（例えば日本や琉球）の君主である王と区別するために用いられます。諸侯王のうち、皇帝の一族で皇帝と同じ姓を持つ者は同姓諸侯王（皇族・宗室）と呼ばれ、異なる姓を持つ者は異姓諸侯王と呼ばれます。

「諸侯王」という言葉は歴史用語であり、同時代に使われたものではありません。同時代には、諸侯王は「郡王」、独立国の君主は「国王」として区別されることもありました。ただし、中国王朝から見て重要度の低い国の君主に対しては、国王よりも低い位として郡王の位を与える場合もあり、この区別は一律ではありませんでした。

諸侯王の制度が確立したのは前漢時代です（郡国制）。当初は功臣にも王号が授与されましたが、斉王や楚王に封じられた韓信が淮陰侯に降格されるなど、皇族以外には王号を与えない方針へと転換しました。呂雉が実権を握ると、呂氏一族が諸侯王に封じられるという事態が発生しましたが、呂雉の死後、呂氏一族はクーデターによって粛清されました。文帝の時代には、長沙王の呉氏が断絶し、劉氏以外の異姓諸侯王は完全に消滅しました。

その後の中華王朝でも、この方針は踏襲され、臣下でありながら王号を授与されるのは、特筆すべき功績があった場合や、死後の追贈に限られました。また、大きな功績のあった臣下が王号を受けた場合、後漢の魏王曹操や魏の晋王司馬昭のように、その臣下が禅譲を受けて新しい王朝を建てる前段階となることもありました（両者とも息子の代に魏・晋の皇帝を名乗っています）。

中央集権化が進み、実際に封地を統治することがなくなると、王は事実上、皇族の称号となり、特に皇帝に近い血筋の王は親王と呼ばれるようになりました。この習慣は日本にも模倣され、親王と王は皇族に与えられる正式な称号となり、現在も存続しています。

諸侯王の反乱

呉楚七国の乱
八王の乱
靖難の変
安化王の乱
寧王の乱
三藩の乱

脚注

参照文献

黒田日出男編『歴史学事典12 王と国家』（弘文堂、2005年） ISBN 4335210434

関連項目

前漢の諸侯王一覧
後漢の諸侯王一覧
衛王、晋王、魯王、安定王、安徳王、昌邑王、東海王、南安王
* 平王 (称号)

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