周昌

周昌の生涯と業績

周昌（しゅう しょう、？ - 紀元前191年）は、前漢初期の国家において非常に重要な役割を果たした人物です。彼は高祖劉邦の側近として知られ、沛の出身であり、従兄には周苛がいました。爵位は汾陰侯、そして彼の死後には悼侯の称号が贈られました。周昌は、前漢の創立に貢献した功臣の中でも特に影響力のある一人であり、十八功侯の一人として名を刻んでいます。

略歴

周昌とその従兄の周苛は、秦の時代に泗水郡で共に卒史としての経歴を持ちます。劉邦が沛にて秦に対して反乱を起こした際、彼らは彼に従い、特に周昌は職志となりました。紀元前206年に劉邦が漢王となった後、周苛は御史大夫に任命され、周昌は中尉に任じられました。

高祖3年（紀元前204年）、周苛が項羽によって殺された後、周昌はその後任として御史大夫に選ばれました。彼は常に劉邦に従って項羽と戦い続けました。高祖6年（紀元前201年）には、これまでの功績により、蕭何や曹参と共に列侯に封じられ、汾陰侯を名乗ることとなります。

周昌はその性格からも注目され、特に直言を恐れずに発言する姿勢で知られていました。ある宴会で劉邦が愛妾の戚姫を抱いていた際、周昌が上奏しようとしたところ、逃げ出してしまいます。劉邦が彼を追いかけ「私はどんな主であると思う？」と尋ねると、周昌は「桀や紂のような主でございます」と返答しました。これには劉邦も笑ったものの、周昌を恐れる気持ちも抱いたと言われています。

また、皇太子の交代を提案しようとした際には、周昌は反対の意見を強く主張しました。彼はもともと吃音を抱えていたが、怒りのあまり言葉が出なくなり、「私は言葉では言えませんが、皇太子を替てはいけないことがわかります」と伝えました。その結果、劉邦はそれを取りやめ、周昌の意見を尊重しました。

後の運命

劉邦は皇太子の行く末を心配していたが、そこで御史の趙堯が「呂后や大臣たちも恐れる人物を趙王の丞相とすれば良い」と提案しました。このことから周昌は趙王の丞相に任命されましたが、周昌自身は感情的になり、涙ながらに抗議しました。しかし、劉邦は彼の能力を信じてその任を託しました。

劉邦が亡くなり、恵帝の時代になると、呂后は戚姫とその子である趙王劉如意を排除しようとしましたが、周昌は病気を理由に朝廷に出ないようにしました。その後、周昌は病気と称して表に出ず、恵帝4年（紀元前191年）に死去しました。彼は悼侯と評され、彼の後は子の哀侯である周開方が引き継ぎました。

このように、周昌は前漢の歴史において、直言を持って皇太子を守り、国家の大きな局面で重要な役割を果たしました。彼の努力は記録に残り、司馬遷からも実直な人物として評価されています。彼の業績は『漢書』を通じて後世に伝えられ、その名は後の歴史にも大きく影響を与えました。

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