周木律

周木律は、日本の小説家、推理作家です。某国立大学建築学科卒業という経歴を持ち、その専門知識が作品世界にも反映されている点も注目に値します。

周木律の作家としてのキャリアは、第47回メフィスト賞受賞作『眼球堂の殺人〜The Book〜』(2013年)で幕を開けました。彼は1年半の間に9作もの作品を同賞に応募するという精力的な活動を行い、見事受賞を果たしています。メフィスト賞への応募を決めたきっかけは、編集者からのフィードバックが得られること、そして応募期間が4ヶ月と短いという点だったと語っており、彼の創作活動における積極的な姿勢をうかがい知ることができます。

デビュー作『眼球堂の殺人〜The Book〜』に登場する天才数学者、十和田只人は、放浪の天才数学者として知られるポール・エルデシュをモデルにしていると言われています。このモデル選びからも、周木律の幅広い知識と、創作における綿密な準備が窺えます。

周木律は幼い頃から創作活動に親しんできており、初めて小説を書いたのは小学校5年生の時の国語の授業だったそうです。その頃から既に作家としての素質を備えていたと言えるでしょう。講談社ノベルスで、自身の好きな作品として綾辻行人「館シリーズ」、京極夏彦「百鬼夜行シリーズ」、森博嗣「S&Mシリーズ」を挙げていることからも、本格ミステリへの強い関心が伺えます。また、江戸川乱歩、アイザック・アシモフ、筒井康隆といった錚々たる作家たちから影響を受けていることを明かしており、彼の作家としてのルーツを垣間見ることができます。

『眼球堂の殺人』は、第1回メフィスト賞受賞者であり、元建築学科助教授でもある森博嗣氏から「懐かしく思い出した。本格ミステリの潔さを」という推薦文を得ており、その言葉は帯にも掲載されています。建築の専門家からの高い評価は、周木律の作家としての力量を裏付けるものと言えるでしょう。

周木律の作品はミステリ小説にとどまりません。『災厄』や『暴走』といったパニック・エンタテインメント小説も執筆しており、その創作活動の幅広さは特筆に値します。

代表作である「堂シリーズ」は、『眼球堂の殺人』から始まり、『双孔堂の殺人』『五覚堂の殺人』『伽藍堂の殺人』『教会堂の殺人』『鏡面堂の殺人』『大聖堂の殺人』と続き、それぞれのタイトルに独特の建築的イメージが込められています。このシリーズは高い人気を誇り、多くの読者を魅了しています。『眼球堂の殺人』は発売から1週間、『双孔堂の殺人』は発売から2週間で重版が決定するなど、その人気は商業的にも成功を収めています。

ミステリ小説以外にも、「猫又シリーズ」、「症シリーズ」、「一石豊シリーズ」など、複数のシリーズ作品を発表。さらに、『LOST 失覚探偵』三部作や『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』といった長編作品、映画小説版『小説 Fukushima 50』、そして『あしたの官僚』や『ネメシスIII』、『楽園のアダム』など、多様なテーマの作品を発表し続けています。これらの作品は、ミステリ、パニック、社会派など、幅広いジャンルに渡り、その創作意欲の高さは並々ではありません。

また、アンソロジーへの参加や、雑誌への作品掲載など、精力的に活動しており、近年ではテレビドラマ『ネメシス』の脚本協力にも参加するなど、その活躍の場はますます広がっています。

周木律の作品は、緻密な構成と独特の世界観で知られ、多くの読者から高い評価を得ています。今後も、彼の創作活動から目が離せません。

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