命の恩人

トムとジェリー：命の恩人

1944年7月22日、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー・カートゥーン・スタジオによって制作された名作アニメーション『命の恩人』。ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラの監督の下、おなじみのトムとジェリーが織りなす、予測不能なストーリーが展開します。

いつものように、トムはジェリーを追いかけ回します。その最中、ジェリーは野犬狩りに捕まったスパイクの悲鳴を耳にします。命がけの状況にあるスパイクを、ジェリーは見事救出します。

間一髪で危機を脱したスパイクは、ジェリーに深く感謝し、「もし困ったら口笛を吹け。すぐに駆けつける」と約束します。

ここから、ジェリーはトムに追われるたびに口笛を吹くようになり、瞬時に現れるスパイクはトムを痛烈に懲らしめます。トムはスパイクの脅威に怯え、ジェリーを捕まえることすら困難になります。

しかし、トムは策を講じます。ジェリーにゴム糊をつけた風船ガムを食べさせ、口笛を封じることに成功します。これによりトムはジェリーを思うままに攻撃しますが、ジェリーは言葉を発することができず、身振り手振りで必死にスパイクに助けを求めます。しかし、スパイクは口笛以外の合図には反応しません。

窮地に陥ったジェリーは、最後の手段に出ます。口の中の糊を膨らませ、巨大な風船を作り、それを破裂させることで、強力な風圧で口笛を吹き鳴らします。

しかし、恐怖に慄いたトムが死んだふりをしても、スパイクは現れません。その理由は、スパイクが再び野犬狩りに捕まってしまったためでした。

邪魔者が消えたことを確認したトムは、再びジェリーを追いかけ始めます。ジェリーは必死に口笛を吹きながら、スパイクを乗せたトラックを追いかけるのでした。

本作は、トムが勝利する数少ない作品の一つです。通常とは異なる結末が、このアニメーションに独特の面白さを与えています。

主要キャラクター

トム: ジェリーを追いかける猫。スパイクの恐怖に怯え、ジェリーを捕まえることに苦戦する。しかし、ジェリーを出し抜いた後、スパイクの捕獲を目撃し、安心してジェリーを追いかける。
ジェリー: トムから逃げるネズミ。スパイクを救出し、その恩義によって危機を脱する。しかし、トムの策略によって口笛を封じられ、窮地に陥る。
スパイク: 野犬。ジェリーに助けられ、口笛を合図にジェリーを助けることを約束する。しかし、口笛以外の合図には反応しない融通の利かなさが特徴。再び野犬狩りに捕まる。
雌猫: トムが口笛を吹いてスパイクを呼び寄せた結果、自滅するきっかけを作った、通りすがりの雌猫。

制作

監督：ウィリアム・ハンナ、ジョセフ・バーベラ
製作：フレッド・クインビー（初公開版ではクレジット無し）
脚本：ウィリアム・ハンナ、ジョセフ・バーベラ（全員クレジット無し）
作画：ケネス・ミューズ（初公開版ではケン・ハリス名義）、ピーター・バーネス、レイ・パターソン、アーヴン・スペンス、バーニー・ポスナー（クレジット無し）
レイアウト：ハービー・アイゼンバーグ（クレジット無し）
音楽：スコット・ブラッドリー
彩色プロセス：テクニカラー
録音システム：ウェスタン・エレクトリック
* 配給：メトロ・ゴールドウィン・メイヤー

日本での放映

TBS系および他系列で、1964年から1990年頃まで断続的に放映されました。現在ではDVDでも視聴可能です。

関連作品

本作と類似したストーリーを持つ作品として、『ブルおじさん』があります。しかし、『ブルおじさん』ではトムが敗北するのに対し、『命の恩人』ではトムが勝利するという違いがあります。1941年制作のテックス・アヴェリー作品『Cagey Canary』にも、本作と類似した要素が見られます。

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