和泉 (防護巡洋艦)

防護巡洋艦「和泉」

「和泉」（いずみ／いづみ）は、日本海軍の防護巡洋艦であり、その名は旧国名「和泉国」に由来します。元々はチリ海軍の「エスメラルダ」として知られ、世界で初めて建造された防護巡洋艦の一つです。以下では「和泉」の艦歴と特徴を詳しく紹介します。

設計と建造

「和泉」はアームストロング・ミッチェル社のロー・ウォーカー造船所で建造され、1881年に起工、1883年には進水し、1884年に竣工しました。この艦はチリ海軍において重要な役割を果たし、1891年の内戦では議会派に属し、いくつかの戦闘に参加しました。

チリ海軍時代

「エスメラルダ」は内戦中にバルパライソ湾で就役し、議会派の艦隊として数多くの戦闘を支援しました。特に1891年2月のイキケでの戦闘では、砲撃に参加し、その威力を示しました。さらに、8月にはバルパライソの北に上陸した議会派に対し砲撃を行うなど、重要な役割を果たしました。

日本への売却

1894年、日本は「エスメラルダ」を購入することに決定しました。この購入は内務省の江木千之の提案によるもので、チリからエクアドルを経由しての購入となりました。ガラパゴス諸島での引き渡しを経て、1895年に日本の艦籍に編入された際、艦名を「和泉」と改められました。

日本海軍時代

横須賀鎮守府に所属した「和泉」は、1895年初頭から活動を開始しました。1898年には主罐の換装が行われ、次第に装備の近代化が進みます。1900年には義和団の乱に従事し、その後も重要な任務をこなしました。

日露戦争においては、旅順での攻略作戦や、日本海海戦に参加し重要な役割を果たしました。この艦は1905年5月27日にバルチック艦隊の偵察任務を引き継ぎ、艦隊の一員として戦闘に臨みました。特に、日本海海戦では、装甲巡洋艦「ヴラジーミル・モノマフ」との激しい砲撃戦を展開しました。

除籍と解体

「和泉」は1912年4月に除籍され、その後の1913年1月に売却され、長崎で解体されました。また、この艦の船首に装飾されていた菊花紋章は、現在記念艦三笠の中に保存されています。

艦長一覧

「和泉」には多くの艦長が就任しました。初代艦長は島崎好忠大佐で、以降も多くの著名な艦長がこの艦を指揮しました。海軍史に名を残す艦でもあり、艦長たちの活躍もまた「和泉」の歴史を彩っています。

現在の保存物

「和泉」の副砲の一部は、石川県鳳珠郡の穴水大宮および美麻奈比古神社に保存されています。これにより、当時の海軍の痕跡を今でも見ることができます。

「和泉」は、単なる艦船としての役割を超え、歴史的な背景を持つ防護巡洋艦として今もなお多くの人々に記憶されています。

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