和珥部君手

和珥部君手について

和珥部君手（わにべ の きみて）は、日本の飛鳥時代における重要な人物で、彼の一族は和邇部氏や和爾部、さらには丸部など多様な名称で知られています。君手の氏は和邇部であり、姓は臣で、冠位は勤大壱、後に直広壱が与えられました。

出自と背景

和珥部氏は和珥氏に起源を持つ一族で、彼らは畿内を中心に尾張国や美濃国、さらに加賀国など全国にその影響を及ぼしました。特に臣姓の和珥部氏は春日氏の一族に属し、和珥部の首長とされています。君手自体は美濃国の出身と考えられています。

壬申の乱での活躍

壬申の乱は、日本の歴史において非常に重要な戦争であり、この時期に君手は大海人皇子（後の天武天皇）に仕えていました。君手は舎人として皇子の傍にいたとされ、挙兵の決定的な瞬間に立ち会いました。この乱は、君手と彼の同僚である村国男依、身毛広が美濃に先行し、安八磨郡の湯沐令多品治に連絡を取る任務を負って始まりました。

君手らが無事にその任を果たした後、美濃の兵3千は大海人皇子の指揮のもと、不破道を防ぐために立ち上がりました。結果的に大海人皇子は軍を二手に分け、近江国と倭（大和国）へ進軍しました。君手は近江方面の軍を指揮し、男依らと共に連戦連勝を重ね、22日には瀬田で敵の防衛線を突破しました。この戦だけでも君手はその軍事的な才能を遺憾なく発揮しました。

その後、大友皇子が自害したことで、壬申の乱は終息を迎えました。君手はこの戦争を振り返り、『和邇部臣君手記』という文書を著したと伝えられています。

功績とその後の評価

君手の戦功は「日本書紀」にも記載されており、彼の勲功に基づいて12月4日には冠位の昇進が行われたとされています。この際、彼には80戸の封も与えられました。文武天皇元年（697年）9月9日には勤大壱から直広壱に昇叙され、壬申の乱での功績に対する評価は明確なものでした。

しかし、この昇叙の理由は「壬申の功臣」とされているのみで、他の事例と同様に死亡時の追贈が関連しているとも考えられています。大宝元年（701年）7月21日には、君手の子孫に食封の4分の1を伝えることが決まったことからも、君手の影響力と功績が認められていることがうかがえます。

さらに、霊亀2年（716年）4月8日には彼の息子である大石が功田を与えられ、名を残しています。この時の君手の冠位は直大壱であり、文武天皇元年に受けた位よりも高かったと言われています。

結論

和珥部君手は、壬申の乱という重大な歴史的事件において重要な役割を果たした武将であり、その名は文献に刻まれています。彼の軍事的な才能や戦後の栄誉は、飛鳥時代の人々に大きな影響を与え、彼の存在は日本の歴史における一つの象徴として後世に語り継がれています。

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