臣

臣（おみ）とは

臣は、古代のヤマト王権において用いられた姓（かばね）の一つであり、連と並び高位に位置づけられていました。古くは「使主」とも表記され、その語源については諸説ありますが、身体や人格を意味する「ミ」に指小辞の「オ」をつけた「小身」とする説が有力です。

『日本書紀』などの官撰史書によると、臣姓を持つ氏族の多くは、継体天皇以前の天皇から分かれた氏族であるとされています。また、有力な七つの氏族は、系譜上、武内宿禰を共通の祖とするという伝承を持っています。

八色の姓制定以前の臣

八色の姓が制定される以前、臣の姓を称した主な氏族には、蘇我氏、巨勢氏、紀氏、平群氏、葛城氏、波多氏、阿部氏、穂積氏などが挙げられます。これらの氏族は、主に奈良盆地周辺の地名を氏の名としていることから、臣の姓は元々、皇室に従属し、ヤマト王権を形成した畿内周辺の豪族に与えられたと考えられています。また、地方の有力な豪族に対しても、臣の姓が与えられることがありました。

臣の姓を持つ氏族の中で最も有力な者は「大臣（おおおみ）」と呼ばれ、国政を担いました。一方、連の姓を持つ氏族の中で最も有力な者は「大連（おおむらじ）」と呼ばれていました。

八色の姓制定以後の臣

天武[[天皇]]が八色の姓を制定したことで、それまで臣の姓を持っていた中央の貴族は、新たに「朝臣（あそみ）」の姓を授けられました。これにより、臣の姓は存続したものの、位としては上から6番目に格下げとなり、主に地方の豪族が保持する姓となりました。この変化は、ヤマト王権における氏姓制度の大きな転換点となりました。

このように、臣は古代のヤマト王権において重要な役割を果たした姓であり、その変遷は日本の歴史を理解する上で重要な要素の一つです。

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