和田一夫 (経営学者)

和田一夫：比較経営史の大家

和田一夫氏は、1949年生まれの日本の経営学者であり、比較経営史を専門としています。東京大学名誉教授の肩書を持ち、その研究は日本国内外で高く評価されています。ここでは、和田氏の学歴、職歴、研究内容、受賞歴、著書について詳しく解説します。

学歴と職歴

和田氏は新潟県燕市出身で、新潟県立三条高等学校を経て、1973年に一橋大学商学部を卒業しました。その後、一橋大学大学院経済学研究科に進み、修士課程を1975年に修了、1978年には博士課程を単位取得退学しています。1987年にはロンドン大学ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス大学院博士課程を修了し、1989年にロンドン大学から博士号（Ph.D）を取得しました。

一橋大学では、外池正治教授や米川伸一教授に師事し、経営学の研究に取り組みました。その後、南山大学経営学部講師を経て、1981年に南山大学経営学部助教授に就任。1993年には東京大学経済学部助教授となり、1996年に東京大学大学院経済学研究科教授に昇進しました。2014年に東京大学を定年退職し、東京大学名誉教授の称号を得ています。現在は、東海学園大学経営学部経営学科教授および東海学園大学院経営学研究科担当として教鞭を執る傍ら、日本学術会議連携会員等も務めています。

研究内容

和田氏の専門は比較経営史であり、特に自動車産業の発展や、日本企業の経営戦略、組織構造について研究しています。問屋制家内工業から大量生産への発展、フォード・システムからトヨタ生産方式への移行など、歴史的な視点から経営の本質に迫る研究を行っています。

受賞歴

2010年には、著書『ものづくりの寓話:フォードからトヨタへ』で第53回日経・経済図書文化賞を受賞しました。この著書は、フォード・システムとトヨタ生産方式の比較を通じて、大量生産の歴史と日本企業の独自性を明らかにしたもので、学術的な価値が高いと評価されています。さらに、2012年には同書で第25回日本産業技術史学会賞を受賞しています。

著書

和田氏は、数多くの著書を執筆・共著しています。主な著書としては、以下のようなものがあります。

"Fordism Transformed: The Development of Production Methods in the Automobile Industry"（共編著）オックスフォード大学出版局、1995
『見えざる手の反逆―チャンドラー学派批判』（レズリー・ハンナと共著訳）有斐閣、2001年
『豊田喜一郎伝』（由井常彦、トヨタ自動車歴史文化部と共著）名古屋大学出版会、2002年
『ものづくりの寓話:フォードからトヨタへ』名古屋大学出版会、2009年
『企業家ネットワークの形成と展開：データベースからみた近代日本の地域経済』（鈴木恒夫、小早川洋一と共著）名古屋大学出版会、2009年
『ものづくりを超えて：模倣からトヨタの独自性構築へ』名古屋大学出版会、2013年

これらの著書は、経営学の研究者や学生にとって貴重な資料となっています。特に、『ものづくりの寓話:フォードからトヨタへ』は、和田氏の代表作として広く読まれています。

和田一夫氏の研究は、経営学の発展に大きく貢献しており、その業績は今後も長く評価され続けるでしょう。

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