和田昭為

和田昭為（わだ あきため）

戦国時代から江戸時代初期にかけての武将。佐竹氏の家臣であり、受領名は対外的に安房守、佐竹家内では掃部助を名乗りました。

生涯

和田氏は、桓武平氏の支流である三浦氏の末裔とされています。昭為は、天文元年（1532年）に常陸国の戦国大名・佐竹氏の家臣、石井為忠の子として生まれました。

佐竹義昭、義重、義宣の三代にわたり仕え、その間、財政や外交面で重要な役割を果たしました。上杉氏、後北条氏、結城氏など、周辺の有力大名との交渉を担当し、佐竹氏の勢力拡大に貢献しました。また、軍事面においても、合戦において譜代の家臣への指南役を務めるなど、その手腕を発揮しました。

しかし、元亀2年（1571年）には、佐竹氏に背き、白河結城氏の下へ出奔するという事件を起こしました。これは、車斯忠による讒訴が原因とされています。この出奔騒動の際、昭為の息子3人と一族二十余人が、主君である佐竹義重によって殺害されるという悲劇に見舞われました。

白河結城氏に属した昭為は、里白石城主となります。しかし、天正3年（1575年）に、幼年の当主・白河義顕を後見役の白河義親が追放し、自らが当主となるという政変が起こると、佐竹氏がこの混乱に乗じて白河領内へ侵攻を開始します。この戦いで、昭為は密かに佐竹氏に内通し、義親と共に白河勢の先陣を務めながら、わざと突出して佐竹勢へ突撃しました。これにより、義親軍は孤立し、昭為は、大将である義親を捕縛。当主が人質となったことで合戦はあっけなく終わり、白河結城氏は佐竹氏に従属することとなりました。この活躍により、昭為は佐竹氏への帰参を果たすこととなります。

佐竹義重の子である佐竹義宣からは厚い信頼を得て、天正20年（1592年）から義宣が文禄の役に出征すると、国元の留守居を任されました。文禄4年（1595年）に佐竹家中で大規模な知行割替が行われた際には、人見藤道、小貫頼久と共に充行状を発給しています。

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦い後、佐竹氏が出羽国へ移封された際にも、昭為はこれに従いました。慶長8年（1603年）に隠居しましたが、直後に発生した渋江政光暗殺未遂事件（川井事件）に際し、昭為も事件に関与した疑いをかけられました。最終的に処罰されることはありませんでしたが、譜代の臣である昭為と、浪人出身で出世頭であった政光は、以前から対立することが多く、川井らの謀議を知りながら黙認していたのではないかと考えられています。

元和4年（1618年）、87歳で死去しました。

脚注

出典
『浅川町史』
* 今泉徹「和田昭為」（『戦国人名辞典』（吉川弘文館、2006年） ISBN 978-4-642-01348-2）

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