和田賢秀

和田賢快（わだ けんかい）は、南北朝時代に活躍した武将であり、その武勇は多くの人々に語り継がれています。『太平記』では、賢秀（けんしゅう）または源秀（げんしゅう）の名で登場します。

生涯

賢快は楠木正季（くすのき まさすえ）の子として生まれ、楠木正成（くすのき まさしげ）の甥にあたります。湊川の戦いにおいて、伯父である正成や父・正季が戦死した後、楠木一門の棟梁となった従兄弟の楠木正行（くすのき まさつら）を支え、共に勢力の回復に尽力しました。

楠木一族の中でも特に武勇に優れていた賢快は、常に正行に従い各地を転戦しました。正平2年（1347年）には、紀伊国の隅田一族や河内国の細川顕氏（ほそかわ あきうじ）、山名時氏（やまな ときうじ）らを打ち破り、その名を轟かせました。

正平3年（1348年）正月、四條畷の戦いにおいて、楠木軍は高師直（こう のもろなお）率いる幕府軍との激戦に敗れ、正行を含む多くの将兵が討ち死にしました。この戦いで賢快もまた、壮絶な最期を遂げました。正行らが自刃した後、賢快は敵将である高師直の陣に潜入していたところを、かつて味方であった湯浅本宮太郎左衛門（ゆあさ ほんぐう たろうざえもん）に討たれてしまいました。

討ち取られる際、賢快は敵将の首に噛み付き、睨みつけたまま離さなかったと伝えられています。この行為が原因で、本宮太郎左衛門は命を落としたとされ、地元の人々は賢快の霊を「歯噛様（はがみさま）」、転じて「歯神様」として祀るようになりました。この伝承は、賢快の並外れた勇猛さと、無念の思いを今に伝えるものです。

墓所

四條畷市の墓所には、正面に「和田源秀戦死墓」と刻まれた石碑が建立されています。この石碑は、賢快の武勇と忠義を偲ぶ人々によって大切に守られています。墓所の正確な位置は、北緯34度44分7.20秒、東経135度38分31.70秒です。

交通アクセス

墓所へは、JR西日本片町線（学研都市線）の四条畷駅から、近鉄バス、京阪バス、または四條畷市コミュニティバスに乗車し、塚脇バス停で下車するとすぐです。

関連項目

和田賢快は、建武の新政期の動乱の中で活躍した武将の一人であり、その生涯は当時の歴史を語る上で重要な要素となっています。また、墓所がある四條畷市は、大阪府指定文化財を多く有する地域でもあり、歴史に興味のある人にとっては見逃せない場所です。

参考文献

『朝日日本歴史人物事典』（朝日新聞出版）には、和田賢快に関する詳細な記述が掲載されています。

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