和製喧嘩友達

和製喧嘩友達

『和製喧嘩友達』（わせいけんかともだち）は、1929年の7月5日に公開された日本映画です。この作品は松竹キネマが製作・配給を手掛け、小津安二郎が監督を務めました。特筆すべき点は、モノクロでスタンダード形式、サイレント作品として77分間にわたって物語が展開されることです。

本作は、リチャード・ウォレスが1927年に発表した喜劇映画『喧嘩友達』を基本にしており、そこに日本的な要素を巧みに取り入れた「コンビ喜劇」として知られています。初回上映は浅草の帝国館で行われ、追加作品として伊藤大輔監督、かつ市川右太衛門主演の『一殺多生剱』が併映されました。

意外にも長い間現存しないとされていた『和製喧嘩友達』ですが、1997年に新潟県の宇賀山正昭家からパテベビー用の9.5mmフィルムによる短縮版が発見されました。このフィルムは約14分の尺で、東京国立近代美術館フィルムセンターに寄贈され、以降35mmフィルムへの復元作業が行われました。2001年には、この復元プリントが第20回ポルデノーネ無声映画祭で上映され、多くの観客に再びお目にかかることができたのです。さらに、小津安二郎の生誕100周年にあたる2003年にはデジタル復元が実施され、同年の12月25日に松竹から発売された『小津安二郎 DVD-BOX 第四集』の特典ディスクにも収められました。劇中の脚本も同時期に発行された『小津安二郎全集 上』に収録されています。

あらすじ

物語は、留吉（渡辺篤）と芳造（吉谷久雄）の二人のトラック運転手が主人公です。彼らは経済的な事情から二人でルームシェアをしながら生活しています。ある日、彼らは偶然にも身寄りのないお美津（浪花友子）という女性と出会います。お美津は住む場所がなく、二人の長屋に居つくことになります。彼女は南部で家事をしてくれる一方、留吉と芳造の間には恋愛に関する緊張感が芽生え始めます。

ところが、次第に明らかになるのは、お美津が実は長屋の近くに住む学生、岡村（結城一朗）に恋をしているという事実です。この恋の相手がいたことを知った留吉と芳造は、彼らの関係にどのように対処するのか、葛藤する姿が描かれています。最後には、お美津と岡村をさわやかに見送る留吉と芳造。こうした人間関係の微妙な姿を、笑いと共に描き出した作品となっています。

スタッフとキャスト

『和製喧嘩友達』のスタッフには、監督の小津安二郎をはじめ、原作・脚本を野田高梧、撮影を茂原英雄が担当しました。主要キャストには、留吉役の渡辺篤、芳造役の吉谷久雄のほか、お美津役として浪花友子も当てられています。その他にも、芸者役として若葉信子が脇を固めるなど、個性豊かなキャストが揃いました。

このように、『和製喧嘩友達』は日本映画の初期における人間関係の微細な描写と喜劇的な要素をうまく組み合わせた作品です。時を経て、復元されたことで再びその魅力を観ることができるようになり、多くの映画ファンに愛され続けています。

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