ポルデノーネ無声映画祭

ポルデノーネ無声映画祭：サイレント映画の祭典

ポルデノーネ無声映画祭（Le Giornate del Cinema Muto）は、イタリアのポルデノーネで毎年開催される、サイレント映画に特化した国際的な映画祭です。世界最大規模を誇り、サイレント映画ファンや研究者にとって重要なイベントとなっています。

歴史と概要

1981年、地元の学生たちの手によって創設されました。彼らは、北イタリア地震の被災者たちを励ますため、古いサイレント映画の巡回上映を企画。その活動がポルデノーネに根付き、映画祭へと発展しました。

2006年には、映画祭25周年を記念し、上映されるすべてのサイレント映画に音楽の生演奏が添えられました。また、長年にわたり、国立フィルム・アーカイブと協力し、失われた映画フィルムの復元にも力を入れています。同年には、デンマーク映画協会から、カール・ドライヤー監督の『サタンの書の数ページ』を含む、ノルディスク・フィルム製作の28作品が提供されました。

現在、映画祭はポルデノーネにあるチネテカ・デル・フリウリ（Cineteca del Friuli）によって主催されています。

上映作品

映画祭では、様々なテーマや監督に焦点を当てた上映が行われます。D・W・グリフィスの作品は、1997年から2008年にかけて12回に分けて全作品が上映されました。過去の主な上映作品、テーマ、監督は以下の通りです。

1999年：1920年代の北欧映画、ジョルジュ・メリエス、アルフレッド・ヒッチコック、エリッヒ・フォン・シュトロハイム
2000年：ルイ・フイヤード、ドイツ前衛映画、ウォルター・ランツ、1900年の世界
2001年：ケヴィン・ブラウンローが再構築したアベル・ガンス『ナポレオン』、ジャン・エプスタン『フィニス・テラエ』、日本のサイレント映画
2002年：ファニー・レイディーズ、イタリア前衛映画、スイスのサイレント映画、ヤノヴィッツ・イェネー
2003年：メリアン・C・クーパーとアーネスト・B・シュードサック、イワン・モジューヒン、タイのサイレント映画、空の旅の世紀を祝う
2004年：ジガ・ヴェルトフ、1920年代のイギリス映画、バスター・キートン『キートンの大列車追跡』
2005年：日本のサイレント映画、アンドレ・アントワーヌ、ジュリアン・デュヴィヴィエ『貴婦人たちお幸せに』、クラレンス・ブラウン『肉体と悪魔』、ヴィクトル・シェストレム『緋文字』
2006年：ウォルト・ディズニー『シリー・シンフォニー』、ノルディスク・フィルムの諸作品、ジョヴァンニ・パストローネ『カビリア』、トマス・S・インス
2007年：ドイツのサイレント映画、ルネ・クレール、ラディスラフ・スタレヴィッチ、フランク・アーソン『シカゴ』、ジャン・ヴィゴ『ニースについて』、ゲオルク・ヴィルヘルム・パープスト『パンドラの箱』
2008年：ウィリアム・ボーデン『雀』、ジャン・ヴィゴ『ニースについて』
2009年：エリッヒ・フォン・シュトロハイム『メリー・ウィドー』、アベル・ガンス『私は告発する』、ジャック・フェデー『カルメン』
2010年：ジョン・フォード『上流へ』、F・W・ムルナウ『マリッツァ』、松竹の三巨匠（島津保次郎、清水宏、牛原虚彦）、ソヴィエトのサイレント映画（アブラム・ローム、ミハイル・カラトーゾフ）

日本映画の特集

2001年と2005年には、日本のサイレント映画に焦点を当てた特集が組まれました。2010年には、松竹の三巨匠（島津保次郎、清水宏、牛原虚彦）の作品が上映され、日本映画の歴史における重要な作品が紹介されました。

2001年の特集上映作品（一部）:

『東京の通り』(1898年)
『紅葉狩』(1899年)
『狂つた一頁』(1926年)
『十字路』(1928年)
『突貫小僧』(1929年)

2005年の特集上映作品（一部）:

『小林富次郎葬儀』(1910年)
『路上の霊魂』(1921年)
『生さぬ仲』(1932年)
『東京の女』(1933年)
『折鶴お千』(1935年)

2010年の特集上映作品（一部）:

『海浜の女王』(1927年)
『麗人』(1930年)
『銀河』(1931年)
『港の日本娘』(1933年)

まとめ

ポルデノーネ無声映画祭は、サイレント映画の保存と上映において重要な役割を果たしています。映画史における貴重なフィルムに触れることができる、またとない機会を提供しています。映画ファンだけでなく、映画研究者にとっても見逃せないイベントと言えるでしょう。

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