哀荘王

哀荘王（あいそうおう）

哀荘王（788年 - 809年）は、新羅第40代の王（在位：800年 - 809年）であり、激動の時代を生きました。本名は金 清明（のちに重熙と改名）。父は第39代昭聖王、母は大阿飡の金叔明の娘、桂花夫人です。王妃は阿飡の金宙碧の娘を迎えました。

即位と初期の治世

800年6月、昭聖王の崩御により、わずか13歳で王位を継承します。若年のため、叔父である金彦昇（後の憲徳王）が摂政として政治を主導しました。初期の治世においては、律令体制の立て直しと貴族勢力との協調が課題となりました。

政策と文化

哀荘王は、即位後積極的に政策を推進しました。801年には、五廟の形式を改め、始祖大王、高祖、曾祖父、祖父、父を祀る形式に変更。これは王室の権威強化と祖先崇拝の強化を意図したものでしょう。また、805年には律令の施行細則である公式を頒布し、律令体制の推進を図りました。

文化面では、802年に順応・利貞らの高僧に命じ、伽耶山に海印寺を創建させました。海印寺は、後の高麗時代に大蔵経が奉安されるなど、仏教文化の中心地として発展します。804年には、文武王が築いた雁鴨池の畔の臨海殿を修復し、東宮に万寿房を創建するなど、王宮の整備も行いました。しかし、806年には仏寺の新規創建を禁止し、修繕のみを許可する教書を出すなど、仏教政策には抑制的な側面も見られました。

外交

外交面では、唐との関係を重視し、朝貢や冊封を通じて関係を維持しました。805年には、唐の徳宗の崩御と順宗の即位に伴い、哀荘王も官爵を進められました。また、耽羅国（済州島）からの朝貢を受け、関係を深めました。日本との交流も再開され、803年には国交が開かれました。しかし、『日本後紀』には新羅への使節派遣に関する記述が少ないなど、両国の関係には温度差があったことがうかがえます。

終焉

在位10年目の809年7月、摂政であった金彦昇（後の憲徳王）が反乱を起こし、哀荘王は王弟とともに殺害されました。叔父による簒奪という悲劇的な結末を迎えました。憲徳王の即位後、哀荘と諡されましたが、王陵の所在は不明です。

哀荘王の治世は、律令体制の変革、貴族勢力とのバランス、唐との外交、日本との交流、文化事業の推進など、多岐にわたる出来事がありました。しかし、若年の王が直面した政治的な課題は多く、最終的には簒奪という形で幕を閉じました。哀荘王の生涯は、新羅の激動の時代を象徴するものと言えるでしょう。

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