唐会要

『唐会要』の概要

『唐会要』は、中国の北宋時代に王溥（922年 - 982年）によって編纂された歴史的な文献であり、太祖の建隆2年（961年）に完成しました。この作品は、現存する最古の会要とされ、唐代の歴史に関する貴重な情報を提供しています。

目的と内容

本書は、蘇冕の『会要』及び崔鉉の『続会要』の続編として位置付けられています。主に唐代の政治、経済、文化などの制度の変遷を記録しており、特に唐代の制度についてより詳細な記述がなされています。このため、他の文献、特に『通典』などと多くの類似点を見せつつも、一層深い情報を提供しています。

特筆すべきは、『旧唐書』に含まれる様々な史料と比べても、本書にはその詳細が多く含まれている点です。具体的な実例として、「音楽志」や「天文志」といった章は、本書から引用されているため、本書に記載の誤りがあれば、同様に『旧唐書』にも影響が及ぶことになります。また、『唐会要』は『新唐書』や『旧唐書』に未記載の史実も含まれており、残存する史料の一つとして、その価値が認識されています。

構成と資料の保存

この書の原本は、その伝承過程で欠落部分が生じましたが、現行本は清朝の乾隆年間に整備されたものです。全体は100巻から成り、514の項目が配置されていますが、一部の項目には「雑録」が含まれているため、すべてが明確に門類分けされていないのがその特性です。このような構成のため、情報を読む際に不便が生じる可能性があります。

その一方で、張忱石による『唐会要人名索引』が存在しており、これは本書の情報を検索する上で役立つ資料となっています。さらに、宋代には会要を編纂するために特設の機関「会要所」が設けられ、約2000巻以上の会要が編纂されましたが、そのほかの情報はほとんど散逸してしまったと言われています。元や明の時代は会典の編纂に注力したため、会要の整理は不十分に終わりました。しかし、その後清朝の時代に、考証学者の徐松が『永楽大典』から重要な情報を抜粋し『宋会要輯稿』を編纂するなど復興の試みがなされました。

詳細な目次

本書は全体を通じて多岐にわたる内容から構成されており、各巻には下記のようなテーマが扱われています。

• - 帝号上・下、追諡皇帝（巻1・2）: 皇帝の称号や追諡に関する詳細な議論。
• - 皇后や王、皇太子に関する章（巻3-5）: 帝室の構成や地位に関する記述。
• - 祭礼や公式行事の制度（巻6-24）: 封禅、郊議、廟議などの祭祀に関する内容。
• - 官制や公務員の役割（巻50-66）: さまざまな官府や職務に関する詳細。
• - 経済・税制・交通（巻80-93）: 社会経済や交通手段などの制度。

このように『唐会要』は、唐代の各種の制度や政策を詳述し、当時の文化や歴史を理解するための不可欠な資料であることがわかります。幅広いテーマが網羅されており、今もなお研究の対象として語り継がれています。

参考文献

さらに、歴史的な研究を行う際には、古畑徹の「『唐会要』の流伝に関する一考察」や、その周辺の研究資料が参考になります。これらを通じて『唐会要』をより深く理解する手助けとなるでしょう。

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