唐飛

唐飛（とう ひ）

唐飛は1932年3月15日生まれの中華民国（台湾）の空軍軍人で、最終階級は一級上将です。彼は第21代国防部長と第16代行政院長を務め、その経歴は台湾の軍事史における重要な一幕を形成しています。唐飛は中国国民党の党員であり、その軍人としてのキャリアや政治的活動は台湾の現代史において注目される存在です。

来歴

唐飛は江蘇省に生まれ、空軍軍官学校の32期生として卒業しました。彼は元々戦闘機のパイロットとして訓練を受けましたが、若い頃からは中華民国を代表して大使館の駐在武官として活動する機会が多く、西洋的な思想を持つオープンな性格が同時期の将校たちの中で際立っていました。

彼は李登輝が総統に就任した際には、二級上将に昇進し、国防部督察室の主任を務めることになります。その後、1990年に郝柏村が行政院長に就任したタイミングで、空軍総司令及び一級上将の参謀総長としても昇進し、李登輝政権の後期には国防部長としての役割を果たしました。彼の経歴は、1990年代後半の台湾において、陸軍主導から空軍優先への軍事路線の転換を象徴しています。

唐飛は軍の近代化に大いに貢献し、2000年に民主進歩党の陳水扁が総統に就任した際、行政院長に指名されました。これは長期にわたって政権を手中にしていた中国国民党に接近する国軍を安定させ、新たな超党派的な政局の展開を意味していました。これにより、軍人が行政院長に就任するのは陳誠や郝柏村に続いて3人目の事例となりました。さらに、軍人としての最高位である国防部参謀総長と文官の最高位とされる行政院長の両方を担ったのは、郝柏村以来二人目となります。

辞職とその背景

しかし、国民党所属の唐飛は行政院長に就任後、台湾第四原子力発電所（通称：核4）の建設を続けるべきだと主張しましたが、これに対し建設中止を訴える民進党との間で対立が生じました。この対立は彼の政治的立場を厳しくし、陳水扁総統は唐飛の「健康上の理由」による辞職を承認しました。結果として、唐飛は行政院長の職をわずか4か月しか務められず、辞任することになりました。

結論

唐飛のキャリアは、台湾の軍事的側面及び政治的な変容を反映しており、彼の役割はその時代の政局を知る上での重要な一環を成しています。彼は軍人としての能力を生かした後、政治の舞台でも重要な役割を果たしましたが、リーダーシップの難しさや政治的対立が、短命の行政院長としての結末に繋がったとも言えます。

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