啓蒙時代

啓蒙時代（けいもうじだい）

啓蒙時代は、17世紀後半から18世紀にかけてのヨーロッパにおいて主に理性と知識に基づく思想の運動が広がった時代を指します。この時期は、従来の宗教的権威や神学から離れ、理性を駆使して世界を理解しようとする人々によって特徴付けられました。

啓蒙思想は「光で照らすこと」を意味しており、さまざまな国の哲学者や思想家によって広められました。特にスコットランドやフランスの思想家たちが重要な役割を果たしました。ジョン・ロックやデイヴィッド・ヒューム、ヴォルテール、ジャン＝ジャック・ルソーといった人物がこの時代の代表的な思想家です。彼らは、社会、政治、教育、芸術にわたり多大な影響を与えました。

この時期、政治や経済の面でも変革がありました。三十年戦争を経て宗教的対立が収束した後、絶対王権と重商主義が成立。それにより、これまでの封建制度が揺らぎ、より近代的な国家体制が模索されるようになりました。国際貿易も発展し、中国やアメリカからの物品が流入し、文化交流が活発になり、シノワズリと呼ばれる中国趣味の美術様式が誕生しました。

啓蒙思想の中心には「理性」があり、宗教も理性的に理解されることが求められました。宗教的寛容が重視され、思想や言論の自由への道が開かれましたが、同時にこの考えは保守的な宗教界からの反発を招くこととなりました。

フランスでは、哲学者たちによる交流の場としてサロンが開かれ、貴族や知識人たちが集まり、思想を深める場となりました。また、印刷業の発展により、多くの人々が啓蒙思想に触れることができるようになり、この時期に発行された新聞や雑誌が世論を形成する一助となりました。

さらに、科学もこの時期に重要な発展を遂げました。科学革命の影響を受け、多くの学会が設立され、科学的知識が広まりました。ロンドンの王立協会やフランスの科学アカデミーが設立され、実験や発表が活発に行われました。また、博物館が設立され、一般市民にも科学や文化の知識が開放されるようになりました。

啓蒙時代の後半には、政治的な動きとして啓蒙専制君主と呼ばれる思潮が現れました。フリードリヒ2世やエカチェリーナ2世といった君主たちは啓蒙思想を基本に改革を試みましたが、理性に基づく意味で、権力の絶対化との矛盾が指摘され、困難を抱えました。

また、啓蒙時代の思想はフランス[[革命]]と密接に関連し、革命の結果として社会の変革が進められましたが、同時に暴走を引き起こす側面もありました。このように、啓蒙時代は理性や知識を基盤として新しい社会の可能性を切り開く一方で、保守的な意見や反発も生じる緊張した時期であったのです。

啓蒙時代の影響は、後の社会においても続き、人権や民主主義の概念に結びついています。この時代の思想は、現在の私たちが考える自由や平等という価値観にも深く根ざしているのです。

もう一度検索