善心寺

善心寺（ぜんしんじ）

善心寺は、東京都文京区大塚に位置する法華宗陣門流の寺院です。山号を長清山、院号を守慶院と称します。この寺院は、法華宗陣門流の総本山である新潟県三条市の本成寺の末寺であり、関東教区に属しています。

歴史

善心寺の歴史は、寛永8年（1631年）に大河内善兵衛政勝によって、麻布日ケ窪（現在の東京都港区六本木）に創建されたことに始まります。開山は守慶院日栄上人で、大河内政勝の母が法華経を篤く信仰していた大久保忠員の娘であったという縁があります。大河内政勝自身は実子がなかったため、大久保彦左衛門忠教の四男である大八郎（後の善兵衛政雄）を養子に迎えました。寺の名前は、大河内政勝の戒名である善心院殿日浄居士に由来します。

延宝年間（伝承では延宝6年）には、第2世寿要院日住上人の時代に、大久保忠教の孫である大久保八良左衛門忠隆によって、大久保家の下屋敷があった大塚の現在地に寺が移されました。この移転後、元禄10年（1697年）には、小日向・牛込・番町・麹町一帯を焼く大火（元禄の大火）の火元となってしまうという出来事もありました。

その後、大久保氏などの庇護を受けながら、諸堂が整備されていきました。嘉永元年（1848年）には火災で類焼しましたが、第19世融妙院日完上人の尽力により、翌年には本堂と庫裏が再建されました。日完上人は幕府の要人とも交流があり、消失前の書院は二階建てで、老中たちの会議がしばしば行われていたと伝えられています。日完上人は、その後関東本山格である本妙寺（現在は巣鴨に移転）へ移りました。

江戸時代、大塚は閑静な別荘地帯であり、善心寺からは富士山を望むことができたそうです。寺の境内地には富士見坂という別称を持つ坂が並行して存在します。大塚への移転当初、本堂は西向きで坂下通りに山門がありましたが、幕末には現在の山門前の春日通りが主要道路となったため、本堂を東向きに改めました。

昭和時代には、第26世大悟院日襄上人の時代に納牌堂が建立されました。

境内

善心寺の境内には、古代ハスとして知られる大賀ハスが植えられています。このハスは毎年6月下旬から7月初旬にかけて美しい花を咲かせ、訪れる人々の目を楽しませています。この大賀ハスが植えられたのは、日襄上人の俗弟が大賀ハスの発見者である大賀一郎の研究室に勤務していた縁によるものです。

寺宝等

善心寺には、以下の寺宝が所蔵されています。

十界勧請大曼荼羅像：本尊として祀られています。
鬼子母神像
十羅刹女像
三十番神像

著名人墓所

善心寺には、以下の著名人の墓所があります。

栗本鋤雲：幕末の官僚、著述家。
青木誠四郎：幕末の武士。

所在地

東京都文京区大塚5丁目2番7号

外部リンク

長清山善心寺

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