善能寺 (京都市)

善能寺（ぜんのうじ）

善能寺は、京都市東山区泉涌寺山内町に位置し、真言宗泉涌寺派に所属する寺院です。この寺の本尊である聖観音は、多くの参拝者に親しまれており、洛陽三十三所観音霊場の18番札所に指定されています。

歴史的背景

善能寺は、元々は西八条猪熊二階堂町に存在した二階観音堂に起源を持つとされ、弘仁14年（823年）には著名な僧侶の空海によって稲荷大明神（荼枳尼天）が祀られ、現在の名称に改められました。このことが寺の発展の一因となり、その後、平城天皇の勅願寺としての役割も果たしました。

1575年には、後奈良天皇の命により泉涌寺の塔頭に組み込まれ、今熊野観音寺の西北へと移転しました。明治時代には、仏教に対する迫害があったため一時期は荒廃しましたが、1887年に現在の地に再建立されることとなりました。実際、この寺は日本で初めて稲荷大明神（荼枳尼天）を祀った寺院の一つとされています。

現本堂である祥空殿は、1971年にばんだい号墜落事故の遺族からの寄進により建設されたものであり、航空事故の犠牲者を追悼するために設けられた場所です。さらに、1972年には作庭家の重森三玲によって美しい池泉庭園「遊仙苑」が創られ、その風情は訪れる人々を魅了します。

境内の見どころ

善能寺の境内には、訪れる人々を和ませる様々な施設があります。まず目を引くのが本堂（祥空殿）で、これはばんだい号墜落事故の犠牲者を悼むために建立されたものです。次に、1972年に完成した庭園「遊仙苑」は、四季折々の美しい風景を楽しむことができ、訪問者に安らぎを与えています。さらに、白玉龍神社や、日本で最初に創設された稲荷社として知られる稲荷神石社もあり、多くの参拝者が訪れています。

また、善能寺は洛陽三十三所観音霊場の一部としても知られており、前後には妙法院三十三間堂と今熊野観音寺が並んでいます。この霊場巡りを行うことで、各寺院の歴史や文化を深く感じることができるでしょう。

アクセス情報

善能寺へのアクセスは、京都市営バスの泉涌寺道バス停から徒歩約10分ほどです。市内の観光スポットを巡った後の立ち寄りにも便利な位置にあります。静かで落ち着いた雰囲気の中、心身ともにリフレッシュできる場所として、多くの訪問者に愛されています。

参考文献

• - 平成洛陽三十三所観音霊場会『洛陽三十三所観音霊場巡礼』、2017年

外部リンク

• - 善能寺 – 洛陽三十三所観音霊場巡礼

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