喜入久正

喜入久正（きいれ ひさまさ）

喜入久正は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将であり、薩摩藩士として活躍しました。天文19年（1550年）に川上久光の長男としてこの世に生を受けました。喜入氏は、もともと久正の叔父にあたる喜入季久の弟・忠道が継いでいましたが、天正2年（1574年）に後継ぎのないまま戦死したため、島津義久の命により、久正がその後を継ぐこととなりました。

武将としての活躍

久正は、永禄年間に菱刈氏攻めに参加し、その功績が認められ、国分の地頭に任じられました。慶長4年（1599年）に伊集院忠真が庄内の乱を起こすと、島津忠恒の命を受け、上洛して伏見にいた徳川家康に謁見しました。その際、伊集院氏が立て籠もる12の城の地勢図を献上し、家康の質問に対して、城内の農民の有無などを詳細に報告しました。この功績により、久正は島津氏における信頼を確固たるものとしました。

島津家への貢献

その後、忠恒が島津氏の家督を継ぐと、久正は老中に就任し、島津家の中枢を担いました。また、忠恒に『伊勢物語』を伝授した際には、信国の脇差、白銀50枚、さらに50石を賜るなど、その功績は高く評価されました。久正は、武将としての能力だけでなく、文化的な教養も持ち合わせていたことが伺えます。

その生涯

寛永9年（1632年）、喜入久正は83歳でその生涯を閉じました。戦国時代から江戸時代初期という激動の時代を生き抜き、島津氏に大きく貢献した人物として、その名は後世に語り継がれています。

まとめ

喜入久正は、武将としての卓越した能力に加え、政治的な手腕、文化的な教養を兼ね備えた人物でした。島津氏の家臣として数々の功績を上げ、その生涯は、薩摩藩の歴史において重要な足跡を残しました。

参考文献

* 『本藩人物誌』 鹿児島県史料集（13）（鹿児島県史料刊行委員会）

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