喜多野清一

喜多野 清一について

喜多野 清一（きたの せいいち）は、1900年5月27日に生まれ、1982年12月20日に亡くなった日本の著名な社会学者です。彼の主な専門分野は農村社会学であり、その研究は日本の社会学界において重要な位置を占めています。彼は文学博士として東北大学から学位を取得し、長年にわたり多くの学生たちに教育を行ってきました。

人物紹介

和歌山県西牟婁郡田辺町（現在の田辺市）で生まれた喜多野は、1921年に第三高等学校を卒業した後、1925年に東京帝国大学文学部社会学科を卒業しました。その後、法政大学で専任講師を務めつつ、1927年には東京帝国大学大学院を退学します。彼の指導教授であった戸田貞三からの影響を受けながら、彼は社会学の道を歩むことになります。

喜多野は1933年に法政大学文学部専任講師に就任し、その後1942年には日本社会学会の理事を務めるなど、積極的に学界活動を行いました。また、仙台高等実務学校の副校長を務めたこともあり、戦後の日本における社会学の発展に大きく寄与しました。

1946年には連合国軍最高司令官総司令部民間情報教育局の顧問に任命され、1948年からは九州大学で法文学部教授として教鞭をとります。1949年からは同文学部の教授と産業労働研究所の教授を兼任し、1956年には大阪大学の文学部教授に就任しました。

1961年に東北大学で「同族の社会学的研究」で文学博士の学位を取得し、1964年には大阪大学を停年退官し名誉教授の称号を得ます。彼はその後も早稲田大学で教鞭をとり、1971年には定年退職し、駒澤大学大学院の教授として活躍しました。喜多野は82歳でこの世を去るまで、社会学の研究と教育に身を捧げた人物でした。

主要著書と業績

喜多野清一の著書には、1976年に出版された『家と同族の基礎理論』をはじめ、農村社会学に関する多くの研究書があります。彼はまた、共編著として『日本農村社会調査法』（鈴木栄太郎との共著）、『農村社会調査』（同じく鈴木栄太郎との共著）、『家 その構造分析』（岡田謙との共編）などを出版し、農村社会に関する研究データの集積に貢献しました。さらに、『農山村開発論』や『家族・親族・村落』など、社会学の発展に寄与する多くの編著も行いました。

国際的にも影響を受けたジャーナルを翻訳したこともあり、1927年にはエンゲルスの「老戦友に与ふ ベツカーへの『忘れられた手紙』」、1929年には『原始基督教史考』を訳しました。その他にも国内外の研究者との共著や編纂作業を行い、学問発展に寄与しました。

記念論集

彼の業績を顕彰するために、『村落構造と親族組織』という記念論集が編纂され、喜多野清一博士の古稀を祝う形で1973年に出版されました。

喜多野清一の研究は、農村社会学の基盤を固めたと同時に、後の世代に多大な影響を与え続けています。その研究は、現代社会を理解するための重要な手がかりとなるでしょう。

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