喜須来村

喜須来村の概要

喜須来村（きすきむら）は、1955年まで愛媛県西宇和郡に存在した村である。村は近隣の町村と統合し、保内町として新たに誕生し、その後は八幡浜市に組み込まれた。現在、八幡浜市の北部に位置し、農業が盛んな地域として知られている。「喜須来」という名称は、現在でも八幡浜市立喜須来小学校などとして地域に親しまれている。

地理的特徴

喜須来村は佐田岬半島の基部、出石山に源を発する喜木川の中流域にあたる。喜木川は村を西流し、川之石町で川之石湾に注いでいる。南側には山が迫り、名坂峠によって（旧）八幡浜市と境を接している。海には直接接していないため、山岳地形と川の流れが特徴の農村地帯である。

地名の由来

村の名称である「喜須来」は、かつての村名である「喜木」と「須川」を組み合わせたものである。喜木についての由来は不明だが、須川の方は菅原道真が九州に向かう途中、当地に立ち寄ったとの伝説がある。

社会と集落

喜須来村は合併前、喜木と須川という二つの地域で構成されていた。喜木地区には喜木町、磯岡、城高、および神越の四つの集落が存在し、一方の須川地区には須川里、日ノ地、奥の三つの集落があった。これらの集落は元々の地名を引き継ぎ、現在でも区分されている。

行政と教育

村役場は当初大字喜木に設置され、その後1899年に須川に移転した。教育機関としては、1890年に熙々小学校と新山小学校が合併し、須来尋常小学校が設立された。これが喜須来小学校の前身であり、今でも存在する。中学校に関しては、1947年に村立喜須来中学校が設立され、のち八幡浜市立中学校に統合された。

歴史的背景

喜須来村の歴史は古代にさかのぼり、弥生時代の磯岡古墳が残されている。中世には、宇都宮氏の支城が存在し、藩政期には宇和島藩に属していた。19世紀末からは鉱業が盛んで、喜木村近くに銅山が開発された。しかし、鉱害の影響で活動は何度か中断された。

1889年12月15日には市制・町村制が施行され、喜木と須川が合併して喜須来村が成立した。その後も地域は発展を続け、1955年には近隣の町と合併して保内町となり、そして2005年には八幡浜市と合併した。

産業と交通

農業は地域の主要産業であり、櫨の栽培や養蚕、夏柑の生産が盛んであった。昭和30年代後半には、特にウンシュウミカンの栽培が重要な産業となり、現在では果樹園が広がっている。また、交通は喜木川沿いの道が国道197号として発展し、八幡浜市との間にトンネルが開通してからは更なる発展を遂げた。現在、鉄道は通っていないため、道路交通が主な移動手段となっている。

出身有名人

喜須来村からは、大相撲第39代横綱として知られる前田山英五郎が出身である。彼の存在は、村の名を全国に広める一因となった。

喜須来村は愛媛県の中で静かな農村地域であり、多くの歴史的出来事を抱えた場所である。現在もその名は地名として残り、新たな展開を見せている。

もう一度検索