喝采 (ちあきなおみの曲)

「喝采」についての詳細

概要

「喝采」は、ちあきなおみが1972年にリリースした楽曲で、彼女の13枚目のシングルにあたります。この曲は、日本コロムビアから10月に発売され、発売当初から多くの人々の心を捉えました。歌詞は失った恋人を思い出しながらステージで歌うという設定になっており、その切なさが多くの共感を呼びました。

この楽曲は、13か月以内にオリコンで80万枚以上の売上を記録するという快挙を成し遂げ、最終的には130万枚以上を売り上げることに成功しました。また、ちあき自身も本曲で1972年の『第14回日本レコード大賞』の大賞を獲得し、その受賞は発売からわずか3ヶ月での出来事だったため、当時の記録として注目されました。

歴史的背景

「喝采」は、当時の音楽シーンで「ドラマチック歌謡」と称される作品群の一部となり、ちあきのシングル「劇場」と「夜間飛行」とともに「ドラマチック歌謡三部作」としても知られています。また、1972年のNHK紅白歌合戦でもこの楽曲が披露され、その名はさらに広まりました。

1989年には、アルバム『喝采〜紅とんぼ／吉田旺 参分劇』の中で新たにアレンジされたバージョンが収録され、2015年からはサントリー「ボス」のCMソングとしても使用されるなど、今なお多くの人々に親しまれています。

歌詞の背景

この楽曲は、ちあきの実体験をもとにしているというプロモーションで売り出されました。作詞を手掛けた吉田旺は、ちあきの実体験を知らずに歌詞を作成したとされていますが、その内容が偶然にも似ていたため、プロモーションの一環として「私小説歌謡」として紹介されたとされています。ちあき自身は、自身の経験が歌詞に重なることから、当初この曲を歌いたくないと感じていたとも言われています。

オリコンチャートの記録

本曲はリリースから2か月でオリコンチャート7位に達し、その後、2位まで上昇しますが、この時に長い間1位をキープしていた宮史郎とぴんからトリオの「女のみち」に阻まれ、最終的に12週間もの間2位に留まる結果となりました。

特信チャートでは最高位の1位を獲得しており、評価も高かったことが伺えます。

制作秘話

作詞者の吉田旺が「歌い手をテーマにした詞を書こう」と決意し、「喝采」の歌詞を完成させました。当初のタイトルは「幕が開く」でしたが、日本コロムビアのプロデューサーによって今のタイトルに改名されました。この曲は作曲者・中村泰士により、演歌でも使われる「ヨナ抜き音階」を基に作曲され、ポップスとしては珍しいアプローチが評価されました。

歌詞には「黒いふちどり」という表現があり、当初は変更を求められましたが、吉田はこの部分が重要であると主張し、最終的にそのまま残されました。

エピソード

「喝采」が受賞した1972年、日本歌謡大賞では小柳ルミ子の「瀬戸の花嫁」が大賞候補とされていました。しかしこの曲が予想外の受賞を果たすことで、ちあきや制作関係者にとっては驚きの出来事となったようです。

さらに、ちあき自身の歌唱による英語版の歌詞も存在し、ファンにとっては特別な一曲として思い出されている楽曲でもあります。

影響とカバー

この楽曲は多くのアーティストにカバーされており、例えば石原裕次郎や由紀さおり、さらに近年では雨宮天や山口かおるによるカバーも見ることができます。これらのカバーにより、「喝采」は世代を超えて愛され続けている楽曲であると言えるでしょう。

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