営団05系電車

営団05系電車：東西線を支えた通勤形車両

営団05系電車は、1988年に帝都高速度交通営団（営団、現：東京地下鉄）が東西線の輸送力増強と5000系電車の置き換えを目的に導入した通勤形電車です。2004年の営団民営化に伴い、東京メトロに継承されました。本系列は、16年間にわたり製造され、その間に様々な仕様変更が加えられたため、形態分類が多岐にわたります。また、一部車両はインドネシアのPT Kereta Commuter Indonesia（KCI）に譲渡され、海外でも活躍しています。

概要

05系は、1988年から2004年度にかけて10両編成43本（430両）が製造されました。東西線の車両冷房化を推進するため、当初は05系の新製で対応する予定でしたが、車両数が多いため更新完了に時間がかかる見込みでした。そのため、5000系に対しても冷房化改造などの延命工事を実施し、最終的な置き換えは2007年までずれ込みました。

2005年度には、最終編成として10両編成4本を新製し、残存する5000系を置き換える計画もありましたが、有楽町線・副都心線用の新型車両10000系の投入計画変更により、07系が転入することになり、05系の増備は中止されました。また、東西線の混雑緩和・遅延防止を目的として2010年度から2011年度にかけて導入されたワイドドア車体の新型車両も、当初は本系列の第14次車として計画されていましたが、10000系の仕様を取り入れたことで新系列の15000系として製造されました。

1989年には、鉄道友の会のグローリア賞を受賞しました。これは、05系だけでなく、01系・02系・03系といった営団の新系列車両全体に対する評価を示すものです。

形態分類

05系は、製造時期や仕様の違いにより、大きく分けて7次車までと8次車以降の「05N系」に分類されます。

05系（1 - 7次車）

05系は、日比谷線用の03系と基本設計を共通としています。東西線は当時の営団で唯一快速列車の運転を実施していた路線であるため、「スピード感」を強調したデザインが採用されました。前面は傾斜のある流線型で、フロントガラスには曲面ガラスが使用されています。車体はアルミニウム製で、長さ20m・片側4扉です。ラインカラーであるスカイブルーの帯をメインに、ホワイトとダークブルーの帯がアクセントとして配されています。

車内には、各扉上にLED式車内案内表示器とドアチャイムが設置されています。運転台の主幹制御器は縦軸回転式のツーハンドルで、ブレーキ設定器は電気指令式です。

1 - 4次車（第01 - 14編成）

主回路には、GTOサイリスタを使用した高周波分巻チョッパ制御が採用されています。台車はSUミンデン式ボルスタレス台車を使用しています。編成中の電動車(M)と[付随車]の構成は5M5Tで、主電動機出力は160kW/台です。

5次車（第15 - 18編成）

ワイドドア車の量産車で、主回路は初期ロットと同じ高周波分巻チョッパ制御です。2・9号車に車椅子スペースが設置され、非常通報器は乗務員と相互通話可能な対話式に変更されています。

6 - 7次車（第19 - 24編成）

主回路にIGBT素子のVVVFインバータ制御が採用され、モノリンク式ボルスタレス台車を使用しています。車外では窓割付が06系・07系と同一に変更され、座席配置が4-6-7-6-4人掛けとなっています。また、第24編成は廃車となった5000系アルミ車から一部の部品がリサイクルされた車両です。

05N系（8 - 13次車）

05N系は、1999年度から投入が再開された際に、全面的に設計変更された車両です。外観は、正面のデザインがマイナーチェンジされ、縦曲線主体の形状となりました。前照灯と尾灯は丸型となり斜めに設置され、下部にはスカートが設置されました。車体ラインカラーも変更され、濃い方の帯は紺色に近くなり、明るい色の帯の色も変更されました。

客室内装は全面的に変更され、茶色系をベースとした色調に一新されました。座席は側壁で支持する片持ち式となり、バケット形状も変更されました。乗務員室も配色が見直され、運転台は左手操作式のワンハンドルマスコンとなりました。

8 - 10次車（第25 - 33編成）

主回路はIPMの2レベルに変更したVVVFインバータ制御を採用しました。制御装置は回路の簡略化・小型化が図られ、制御素子は高耐圧のものに増強されました。また、騒音対策として高周波変調、特定周波を分散させるゼロベクトル変調方式を採用しています。

11 - 12次車（第34 - 39編成）

半蔵門線用として製造される08系の設計思想を取り入れ、仕様変更により安全性の向上、コストダウン等を図りました。車体の窓割は営団とこれに乗り入れる鉄道事業者で協議して定めた規格に基づいたものとなり、座席配置は標準的な3-7-7-7-3人掛けとなっています。車体は構造が見直され、側構体をダブルスキン構造に変更し、車体強度の向上を図りました。

13次車（第40 - 43編成）

東京メトロ発足後の2004年度に製造されたグループで、「新技術を投入した次世代形通勤車両」・「今後の標準車両」として東葉高速鉄道と共同開発したものです。車体構体をダブルスキン構造とし、内装や床下機器の製作にはモジュール化・アウトワーク化を実施しました。また、火災対策として、客室において有毒ガスの発生源となる材料の使用を取りやめています。

更新工事

05系は、経年劣化に伴い、C修工事やB修工事といった更新工事が実施されています。B修工事では、内装の取り替えや電気品の更新など、大規模な改修が行われます。また、一部の05系は、千代田線北綾瀬支線用に改造され、現在も活躍しています。

海外譲渡

05系のうち、初期に製造された車両は、インドネシアのPT Kereta Commuter Indonesia（KCI）に譲渡され、ジャカルタ首都圏の通勤輸送に貢献しています。

まとめ

営団05系電車は、東西線の輸送力増強に大きく貢献した車両であり、その形態や仕様は多岐にわたります。更新工事を経て現在も活躍する車両や、海外で第二の人生を送る車両など、様々な形でその役割を果たしています。05系の歴史を振り返ることで、日本の鉄道技術の発展と、都市交通の変遷を垣間見ることができるでしょう。

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