避暑山荘

避暑山荘：清朝皇帝の避暑地

避暑山荘（ひしょさんそう、満洲語：ᡥᠠᠯᡥᡡᠨ ᠪᡝᠵᠠᡞᠯᠠᠷᠠᡤᡠᠷᡠᠩ）は、中国河北省承徳市に位置する、清朝時代の壮麗な離宮です。避暑離宮、熱河行宮とも呼ばれ、頤和園、拙政園、留園と並び、中国四大名園の一つとして数えられています。総面積は564万平方メートルに及び、周囲を10キロメートルの城壁で囲まれています。その景観の美しさから、中華人民共和国国家級風景名勝区（1982年認定）および中国の5A級観光地（2007年認定）にも指定されています。

建設の背景

清朝の皇帝は、しばしば瀋陽（当時の奉天）へ参拝に赴いていました。その際、承徳に立ち寄ることを恒例としていました。承徳は気候が穏やかで、豊かな自然と美しい景色に恵まれており、温泉も湧出していました。康熙帝は1703年、この地に離宮を建設することを決意しました。その後、雍正帝の治世を経て、乾隆帝の時代である1741年から大規模な整備が行われ、着工から87年の歳月をかけて1790年に完成しました。

江南庭園の影響

避暑山荘の建築には、江南地方の著名な庭園や景勝地が参考にされたと言われています。例えば、蘇州の獅子林や寒山寺、杭州の武陵寺六和塔、鎮江の金山亭、嘉興の煙雨楼などを模した建造物が見られます。また、内モンゴルや大興安嶺などから松が運び込まれ、移植されています。

文津閣と四庫全書

園内には文津閣があり、乾隆帝の命により編纂された中国最大の叢書である四庫全書が収蔵されています。これは、清朝の文化的な偉業を示す重要な場所となっています。

避暑山荘は、清朝の皇帝が夏の暑さをしのぎ、政治や文化活動を行った場所であると同時に、中国の庭園芸術の粋を集めた貴重な文化遺産です。

関連項目

外八廟
承徳避暑山荘と外八廟
中華人民共和国の世界遺産
世界遺産の一覧 (アジア)
燕山山脈
アジアの庭園

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