四凶

四凶（しきょう）について

四凶とは、古代中国における概念で、舜帝によって中原の四方に流された悪神のことを指します。この言葉は、『書経』や『左伝』などの古典文献に由来し、その記載内容には違いが見られます。四凶は、通常四つの罪とも関連付けられることが多く、特に『左伝』の記述が広く知られています。

『左伝』における四凶

『春秋左氏伝』の文公18年の部分では、次の四つの悪神が取り上げられています。これらは中国神話や伝説において特有の役割を果たす悪神たちです。

1. 渾敦（こんとん）
渾敦は、その性質から人々の間に混乱を引き起こす役割を持つ悪神です。さまざまな伝説でその存在が確認され、特に厄災や不幸をもたらす存在として恐れられてきました。

2. 窮奇（きゅうき）
窮奇は、しばしば災厄を象徴する存在と見なされ、他者の不幸を喜ぶ性質を持つ悪神とされます。彼の動きは、天候や自然災害に影響することもあり、古くから忌避されてきました。

3. 檮杌（とうごつもしくはとうこつ）
檮杌は、生物界や自然に影響を及ぼす存在として言及され、彼の性質はあらゆる形式の生態系に災厄をもたらすとされています。

4. 饕餮（とうてつ）
饕餮は、伝説上、無限の食欲を持つ悪神で、特に飢餓や貪欲を象徴する存在と考えられています。その姿は古代中国の文化に深く根付いており、しばしば物語の中で引用されることが多いです。

『書経』における四凶

一方で、『書経』において言及されている四凶は、一般的には四つの罪に関連付けられます。この文献では、悪神たちを以下のように紹介しています。また、これを『舜四凶』とも称されることがあります。

1. 共工
共工は、天に反抗し、混乱を引き起こした神として描かれています。彼の存在は、宇宙の秩序に対する挑戦を象徴しています。

2. 驩兜（かんとう）
驩兜は、様々な形で人々に害を与える神とされ、特に人間の内部に潜む悪を引き出す存在として語られます。

3. 鯀
鯀は、禹の父であり、彼の行動は息子の業績に大きな影響を与えます。彼もまた、自然界に混乱をもたらす存在として描かれます。

4. 三苗
三苗は、その名の通り苗木のように成長するものであり、特に災いをもたらす存在として恐れられています。彼らの活動は、農業や生態系に深刻な影響を及ぼすとされます。

脚注

以上のように四凶は、『左伝』と『書経』における描写がそれぞれ異なるため、読者に多様な視点を提供します。古代中国の神話や伝説に興味を持つ人々にとって、これらの悪神たちの理解は重要な要素となります。参考文献には、白川静の『中国の神話』などがあり、古代の信念や価値観がどのように構築されてきたのかを知る手助けとなります。

関連項目

• - 四罪
• - 四霊
• - 四神

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