驩兜

驩兜について

驩兜（かんとう）とは、古代中国神話に登場する悪神であり、堯（ぎょう）の時代における悪人の一人とされています。彼は讙兜、讙頭、鴅吺、鴅兜、讙朱といった異名でも知られ、同じく共工・鯀・三苗と並んで「四罪」とされています。このように彼は悪行を重ね、神話の中で重要な役割を果たしています。

驩兜の出自と反乱

驩兜は、堯の息子である丹朱（たんしゅ）とされており、三苗人の論戚誼（ろんせきぎ）と共に反乱を企てました。この反乱は堯に対するものであり、彼らが敗北したことが「四罪」に数えられる所以です。敗れた後、丹朱の子孫たちは南方に逃れ、讙頭国を建国したと伝わっています。讙頭国に関する情報は、『山海経』などの古い文献で確認できます。

『史記』の舜本紀によれば、驩兜の子孫は南の方に住む「南蛮」として知られるようになるとされています。このように、彼の影響は神話においても大きいものとなっています。驩兜、讙頭、鴅吺、讙朱、そして丹朱が同一の存在であるという考えは、古くから存在し、郭璞による『山海経』の注釈にも見られます。しかし、『山海経』には驩兜が鯀の孫であるという記述もあり、少々複雑な関係がうかがえます。

驩兜の墓

『山海経』の海内南経には「帝丹朱の墓」、海内北経には「帝丹朱の台」との記述があり、中国神話学者の袁珂はこれらが驩兜に関連するものだとしています。驩兜の存在は、ただの神話の一部分ではなく、彼の伝説は多くの側面から解明されようとしているのです。

丹朱と囲碁の関係

驩兜、つまり丹朱の有名な伝説には、囲碁との関わりもあります。『世本』という器物の発明に関する文献には、堯が丹朱のために囲碁を作ったとの逸話が記されています。これが囲碁の起源となるもので、古い文献にはしばしばこの伝説が引かれています。

丹朱が与えられた囲碁は、犀角や象牙といった贅沢な素材が使われていたと言われています。元代にまとめられた囲碁に関する書物『玄々棊経』では、囲碁が丹朱に与えられた理由について「天下を治めるための教養を身につけさせるため」とされる一方、それが良い影響をもたらすとは限らないとの見解も示され、遊具を与えただけに過ぎなかったのではないかという意見が載せられています。

結び

驩兜の伝説は、中国古代神話の中でも特に興味深い要素を持ち、丹朱とのつながりや彼の反乱など複雑な歴史を含んでいます。また、囲碁との結びつきは文化的な側面でも重要な意味を持つことから、今なお研究され続けるテーマの一つと言えるでしょう。

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