四十八手

四十八手の概説

四十八手（しじゅうはって）は日本の伝統的な相撲において、さまざまな決め技を指す言葉です。この名称は室町時代から見られ、当初は技の数を正確に表したものではなく、数の幸運を象徴する意味合いを持っていました。48という数字は古来より「縁起の良いこと」とされ、相撲の技にもその影響が色濃く残っています。

江戸時代に入ると、「48」の数字がさまざまな場面で用いられるようになり、大岡忠相が定めた町火消も同様の由来で「48組」と名付けられました。また、滝の名前においても「赤目四十八滝」のように、48の数が名付けに使われています。相撲においては、寛文時代に技を文書として整理し、投げ手や掛け手などを含む様々な決まり手が「四十八手」として体系化されました。

このように、四十八手は相撲の技の基礎をなす重要な概念となり、技の名称は江戸時代から元禄時代にかけて徐々に増えていきました。現代においては、決まり手の種類は300手以上に上ると言われます。中には「裏手」や「手捌き八十二手」といった技も存在し、流派によっても名称の異なる技があるため、秘技として伝えられるものも多く存在します。

確立した決まり手

昭和30年代、相撲の競技性が高まる中で、相撲協会は秀ノ山を中心に四十八手の整備を行い、技の名称を68手に統合しました。その後も技の名称は見直され、現在では82手が公式に認定されています。この決まり手の整理は、相撲の技を理解する上で重要な意義を持っています。

主な決まり手には、次のようなものがあります：

• - 突き出し: 手のひらを使って相手を突き、土俵の外に出す。
• - 寄り切り: 相手を四つ身で寄せて、土俵の外へ出す技。
• - 上手投げ: より合っている相手を上手に引いて、その側から投げる。
• - 小手投げ: 相手の腕を抱え、投げ飛ばす技。
• - 掬い投げ: 相手を持ち上げる動作で行う投げ技。

相撲には、技の均等な使い分けを求められる現代において、以前は偶然できた技も一つの魅力とはされていました。ですが現在では、技の習得とその実践が重視されており、流派や部屋ごとの特異な技が次第に重要視される時代となっています。

禁じ手

相撲の試合には、禁じ手として定められた行為がいくつかあります。これらの禁じ手を用いることは反則負けとなります。たとえば、握り拳での殴打や頭髪を掴む行為、目や喉への急所攻撃等が禁じられています。このように、相撲は技の多様性とともに、フェアプレーの精神が評価される競技でもあります。

四十八手は、単なる技の集まりではなく、日本の伝統文化としての深い背景を持ち、技の生成や変化が現代にも影響を与えています。相撲を愛する人々にとって、これらの技やその歴史は重要な要素となるでしょう。

もう一度検索