小手投げ

小手投げ：相撲における危険な決まり手

小手投げは、相撲の決まり手の一つであり、相手の片腕を上手から抱え込むようにして、その腕に重心を預けながら投げる技です。体勢によっては上手出し投げに似ていますが、小手投げは投げる際に廻しを取らない点が異なります。

技の性質と危険性

小手投げは、相手の腕関節（肘、あるいは肩）を極めつつ投げる複合技であり、完全な体勢で仕掛けられた場合、脱出は非常に困難です。たとえ堪えたとしても、抱えられた腕に大きな負荷がかかるため、靭帯損傷などの重傷を負う可能性があります。強引な小手投げによる負傷者が後を絶たないため、数ある決まり手の中でも危険な技の一つとして認識されています。競技の性質上、避けられない面もありますが、この技を多用する力士に対しては、親方衆から注意が与えられることも少なくありません。安全面を考慮し、下へ向かって投げる場合が多く見られます。

小手投げの弱点

一方で、小手投げにはいくつかの欠点も存在します。技の構造上、小手投げを狙うと脇が甘くなり、相手に懐に入られてからの速攻に対応し難くなります。また、仕掛けに失敗すると、側面、最悪の場合、背後を無防備な状態で相手に晒してしまうリスクもあります。

小手投げを得意とした力士たち

過去には、小手投げを得意とする力士も存在しました。

男女ノ川登三: 第34代横綱。191cmという当時としては抜群の長身を生かした豪快な小手投げで人気を博しました。しかし、不器用な一面もあり、小兵や格下の力士に負けることもありました。
春日王克昌: 手繰りを活かして肘を極めながら、両手で抱えて力任せに横へ向かって打つ強引な小手投げで、度々相手力士を負傷させました。「破壊王」というニックネームで呼ばれることもありました。
魁皇博之
貴ノ浪貞博: 長身を生かして極め出しや小手投げを狙う独特の取り口で知られました。しかし、脇が甘く、速攻に弱いという弱点も抱えていました。
久島海啓太: 守勢に回った結果として小手に振る相撲が多く、寧ろ欠点として指摘されました。
若の富士昭一

小手投げは、その危険性から使用には注意が必要な技ですが、相撲の歴史を彩る上で欠かせない決まり手の一つと言えるでしょう。

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