四年式十五糎榴弾砲

四年式十五糎榴弾砲について

四年式十五糎榴弾砲は、1915年に大日本帝国陸軍によって制式化された火砲です。これは、従来の三八式十五糎榴弾砲の機動性の関連問題を解決するために、緒方勝一中佐によって設計された新しい型の榴弾砲です。この砲は、特に野戦における作戦行動において、より効率的な兵器としての活用が期待されていました。

背景と開発の経緯

従来の三八式十五糎榴弾砲は荷重がかなり重く、牽引の際に馬に対する負担が大きかったため、運用には大きな制約があった。そのため、砲身車と砲架車を分割し、牽引を容易にするという新たな設計思想の元に四年式が開発されました。この関心が芽生えたのは、三八式が制式化される前の1908年のことでした。試製砲は1911年には完成し、青島攻略戦においてその性能が試されました。

構造と性能

この榴弾砲の閉鎖機は独特な垂直鎖栓方式を採用しており、通常の砲と異なり、鎖栓を上方に引き上げるという特殊な操作が必要です。また、装薬は可変式であり、連続的な火力調整が可能なため、状況に応じた対応ができるようになっています。これにより、陸軍の主力重砲兵器としての役割が期待されました。

運用と配備

制式化後、この砲は陸軍によって整備され、大阪砲兵工廠で280門が生産されました。大正7年に野戦重砲兵連隊が独立すると、既存の三八式との置換えが進められましたが、第一次世界大戦を経て、砲兵戦術が急進展したため、四年式は相対的に機能的に劣る存在となってしまいました。

射程については、当初の設定では短く、根本的な見直しが必要でした。特に不満が多かったのは、射程が10,000メートルに満たなかったことです。この問題を解決するための試みが1925年より始まりましたが、改良型でも限界があったものの、運用時の便利さは向上しました。

改修と運用史

改造四年式十五糎榴弾砲は、1930年に完成し、運用の便宜は向上したものの、射程不足は依然として解消されませんでした。昭和に入ると、さらに改修が重ねられ、その都度扱いやすさは向上する一方で、耐久性は低下していきました。

その後、この砲は実戦へと投入され、1932年の第一次上海事変を皮切りに多くの戦闘に参加しました。新型の九六式十五糎榴弾砲が1938年に制式採用されたことで次第に旧式化していきましたが、四年式も重要な重火器として第二次世界大戦の終結まで使用され続けました。

結語

最終的に、四年式十五糎榴弾砲はその独特な設計と、戦場における重火器としての役割を果たしました。歴史的には、陸軍の重砲としての重要性を持つ一方で、時代の進展に伴う技術の進化にも影響を受けた砲でもあります。

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