四式七糎半高射砲

四式七糎半高射砲

四式七糎半高射砲（よんしきななせんちはんこうしゃほう）は、太平洋戦争の激動の中で帝国陸軍によって使用された高射砲です。これにより、当時の空中戦において重要な役割を果たしました。この高射砲は、従来の八八式七糎野戦高射砲の運動性や威力不足を解決する目的で開発が進められましたが、研究に費やせる時間が限られていたため、中国で鹵獲したボフォース社製の75mm高射砲を基にしてリバースエンジニアリングによって製造されました。

1943年に試製砲が完成し、翌年には制式化されましたが、当初の生産数は約70門に留まりました。これは、戦局の変化や資源の制約から生じた結果です。四式七糎半高射砲は、その砲身に二層構造を採用しており、特に内管は自己緊搾方式による自由交換砲身を特徴としています。また、照準算定具には、電気式の二式高射算定具が使用され、高い命中精度を実現しています。

さらに、この高射砲は特有の砲架設計がなされており、砲が取り付けられた基筒砲架は下部周囲に十字形の4本の脚を持つ構造です。牽引式であり、迅速に運行姿勢から放列姿勢に移行できる機能を有しているため、戦場での機動性が大いに向上しました。牽引移動時には、左右の脚を前方へ畳むことができ、砲身と基筒砲架を後方へ傾けることで姿勢を低く保つことができます。このような機能は、操作性や柔軟性を考慮した設計の賜物です。

また、この高射砲は、九八式六屯牽引車により、時速45kmでの移動が可能であり、その重量は八八式七糎野戦高射砲よりも1トン以上も重くなっています。それでも、機動性の向上が図られており、十分な運用が可能です。さらに、四式中戦車（チト）や五式中戦車（チリ）といった戦車にも搭載されており、五式七糎半戦車砲の母体としても活用されました。これにより、地上部隊との連携が強化され、高射砲の戦術的価値が向上したと言えるでしょう。

このように、四式七糎半高射砲は、当時の陸軍のニーズに応じた性能を持つ高射砲として、戦局において重要な役割を担いました。今後もその技術力や設計思想から学ぶ部分は多いと言えるでしょう。戦争という歴史の中で、多くの兵器が誕生しましたが、四式七糎半高射砲はその一つとして、特別な存在感を持っているのです。

もう一度検索