四式十五糎自走砲

四式十五糎自走砲の概要と実戦

概要

四式十五糎自走砲（よんしきじゅうごせんちじそうほう）は、第二次世界大戦中の大日本帝国陸軍が開発した対戦車自走砲です。1944年7月に陸軍技術本部での開発が始まり、旧式の15cm級重榴弾砲の運用を活性化することを目的としていました。そして、同年8月には試作車が完成し、三八式十五糎榴弾砲が九七式中戦車の車体に搭載されました。この自走砲は、オープントップ式の戦闘室に組まれており、上面と背面の装甲は装備されていませんでした。

本車に搭載された照準器は直接照準射撃が可能で、九七式五糎七戦車砲用の装備を基にしたものでした。照準できる範囲は3,000mで、上下3度の旋回角と、-10度から+20度の仰俯角を持っていました。また、搭載弾数は最大28発で、戦闘室と機関室上部にそれぞれ弾薬が格納されていました。

実戦投入

開発当初、日本軍はフィリピンでの決戦に向けてこの自走砲をすぐに実戦投入することを決定しました。三菱重工業により生産された四式十五糎自走砲は、終戦までにおおよそ12から25輌が生産されました。1944年12月8日には第1自走砲中隊が編成され、ホロを装備しました。

同年12月22日、中隊はフィリピンのルソン島に向けて出発しましたが、輸送船がアメリカ軍の空襲を受け、ホロの1輌と多くの装備品が失われました。その後、辛うじて揚陸できたホロ2輌は再編成され、飛行場防衛に任命されました。

独立戦車第8中隊と協力し、クラーク地域での防衛任務にあたった第1自走砲中隊は、特に1945年1月の大規模な戦闘でアメリカ軍との接触がありました。中隊は飛行場を守るべく行動し、艦砲射撃の支援を受けながら敵戦車との戦闘に臨みました。

特に1月27日には、自走砲の近距離での戦闘が行われ、ホロは相手に対して機動的な砲撃を行いました。この戦闘では、アメリカ軍の車両を撃退したものの、中隊長の鷲見少尉が重傷を負う結果となりました。それでも、中隊は戦域での役割を果たし続けました。

さらに、1月29日には再びアメリカ軍からの攻撃を受け、自走砲は機動配置を駆使し、敵戦車を撃破する成果を上げました。しかし、状況は厳しく、最終的に第2分隊のホロは多くの犠牲を出し大破しました。残った部隊員は、山岳地帯において歩兵として戦闘を続けました。

現存車両

現在、唯一の現存車両はアメリカのマサチューセッツ州にあるアメリカン・ヘリテージ・ミュージアムで展示されています。この車両はルソン島の戦いで鹵獲されたものであり、国立海兵隊博物館から貸し出されています。

四式十五糎自走砲は、日本陸軍における自走砲の実戦の一部として、その運用の重要さや戦況の厳しさを物語っています。

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