四式軽戦車

四式軽戦車 ケヌ

四式軽戦車ケヌは、1944年に日本陸軍によって開発された軽戦車で、戦争の激化とともに戦車の性能向上が求められた時期の産物です。この車両は、前作の三式軽戦車ケリにおける操作性の問題を解消するために、別の砲塔と車体の組み合わせによる新しい設計を採用しました。

開発背景

三式軽戦車ケリは、九五式軽戦車の比較的小さな砲塔に直接九七式57mm戦車砲を搭載することで、その装甲内部が非常に窮屈になり、操作しづらいという欠点が浮き彫りになりました。このため、九七式中戦車改や自走砲として再利用されることになり、余剰となった九七式中戦車チハの砲塔を新たに搭載することが決定されました。この改良により、戦車は火力向上を図ることができました。

構造上の変更

九七式中戦車の砲塔を採用するためには、車体の砲塔リングを1000mmから1350mmに広げる必要がありました。この際、車体の前面にある機銃座から操縦手用の覘視窓にかけて、装甲の形状を改良する作業が求められました。結果として、全高は20cm、重量は1トン増加し、より大きな砲塔を搭載できるようになりました。

実戦での状況

試作車両は製作されましたが、本土決戦に向けて少数が配備されたのみで、実戦に参加した記録はありません。加えて、運用にあたっては砲塔にループアンテナが付き、キューポラのハッチのペリスコープが取り外されることがあったため、個体差が見られました。取り外された後は、穴が開いたままの状態になっていた可能性もあります。

三式軽戦車 ケルとの混同

戦後の初期には、「四式軽戦車ケヌ」という名が混同され、実際には「三式軽戦車ケル」であるという誤解が長い間存在しました。本当の四式軽戦車は、二式軽戦車ケトの砲塔を改修するか、自走砲化したものを指します。この混同は、これまでの資料の解釈によるもので、実際の運用や設計に関する一次資料を再調査することで、その誤りが明らかになりました。

高速性と機動力

軽戦車の特性上、ケヌは比較的軽快に動くことができ、都市や山岳地帯など多様な地形で運用することが想定されました。しかし、実戦で使用されることはなかったため、その性能がどのように発揮されたかは不明のままです。

他国の類似例

ソ連のT-26-4砲兵戦車やアメリカのM8 75mm自走榴弾砲など、四式軽戦車ケヌと同じ発想の元に設計された車両が存在します。これらは軽戦車の車体により重い火器を搭載するという戦術的アプローチを共通に持っています。特に、T-26は九五式軽戦車と共通の設計基盤を有しており、この点でも興味深い比較対象となるでしょう。

結論

四式軽戦車ケヌは、戦時における日本の装甲戦力強化を目的にした興味深い事例です。火力の向上を目指しながらも、実戦に参加することはなかったため、その評価は歴史の中で薄れつつありますが、軽戦車の設計や運用における試行錯誤の結果として、今なお研究対象として注目されています。

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