四方駅

四方駅（よかたえき）

富山県富山市四方に位置していた四方駅は、かつて富山地方鉄道射水線に属していた鉄道駅です。婦負郡和合町（1960年に富山市に編入）の中心駅として地域輸送を支えましたが、射水線の廃止に伴い、1980年（昭和55年）4月1日に廃駅となりました。

歴史

四方駅は、1924年（大正13年）10月12日に越中電気軌道の富山北口駅と当駅の間が開通した際に終着駅として開業しました。その後、1926年（大正15年）7月21日には当駅から打出浜駅（後に打出駅（2代目）に改称）への延伸が開通し、中間駅となります。鉄道会社の名称は、1927年（昭和2年）2月13日に越中鉄道へと変更され、当駅も同鉄道の駅となりました。戦時中の交通統合政策により、1943年（昭和18年）1月1日には富山地方鉄道射水線の駅として再出発します。駅舎は1952年（昭和27年）8月28日に改築されました。その後、時期は明らかではありませんが、旅客業務は外部に委託されるようになりました。そして、射水線の廃止と同じ日である1980年（昭和55年）4月1日、当駅はその役割を終え廃止されました。

駅構造

廃止時点で、四方駅は地上駅として、相対式ホーム2面2線を有していました。特に重要な特徴として、廃止直前においては、射水線の中間駅で唯一、列車の行き違い（交換）が可能な設備を備えていた点が挙げられます。互いのホームは、駅舎側のホーム北端付近と、それに向かい合うホームの北端付近を結ぶ構内踏切によって連絡されており、乗客はこれを利用してホーム間を移動していました。線路上のポイントは、スプリングポイントが使用されていました。

駅には職員が配置されていましたが、前述のように旅客業務は業務委託されていました。駅舎は敷地の北側に建てられ、上り線ホームの北側に接していました。駅舎の一部、正面から見て左側は2階建てとなっており、ホームに面した側は屋根の一部が張り出す構造になっており、これが待合所の屋根としての役割も果たしていました。対向側のホームにも、待合所の代わりとなる上屋が設けられていました。また、駅舎とは別に、入母屋風の独立したトイレ棟も設置されていました。

運転拠点としての機能

四方駅は、単なる途中駅としての機能だけでなく、射水線の運行における重要な拠点でもありました。当駅には乗務員区や南富山車両区四方支区が設置されており、運転関係の中心地となっていました。本線から新富山方面、列車交換設備の手前で側線が分岐し、さらにそれが4本に分かれていました。このうち3本は、車両の検査や修繕を行う検修庫を兼ねた木造の車庫へと引き込まれ、残る1本は車両の洗浄に用いられる線路として使われていました。車庫の建屋とは別に、職員用の詰所や風呂場といった施設も備えられていました。射水線で運用されていた除雪用車両、富岩鉄道が発注したボ1形ボ2は、この四方駅の車庫に配備され、路線の廃止まで所属していました。

駅周辺

駅の周辺には、国道415号や富山県道207号四方新中茶屋線が通っており、地域交通の要衝でした。また、市立図書館分館、四方郵便局、富山市立四方小学校など、地域の生活を支える施設が集まっていました。北側には四方漁港もありました。

駅跡の現在

射水線の廃止から長い年月が経ち、四方駅のあった場所や線路跡は姿を変えています。当駅から鯰鉱泉駅方面へ延びていた線路跡は、現在では農道として利用されています（ただし、八ヶ山駅の前後部分は富山地鉄のバス専用道となっています）。一方、打出駅方面への線路跡は、サイクリングロードとして整備され、地域住民の憩いの場となっています。このサイクリングロードの下には、富山新港と日本海石油富山製油所（富山火力発電所に隣接）を結ぶ石油パイプラインが埋設されています。

駅施設の跡地も変遷を経てきました。1997年（平成9年）の時点では、路盤跡がサイクリングロードに、駅舎の跡地は駐車場の一部に、ホームの跡は花壇として利用されていました。その後、2006年（平成18年）頃には、かつて車庫があった場所に保育所が建設され、ホーム跡は引き続き花壇として使われていました。この保育所は2010年（平成22年）時点でも存在が確認されています。

隣の駅

四方駅が廃止される直前、富山地方鉄道射水線における隣の駅は以下の通りでした。

鯰鉱泉前駅 - 四方駅 - 打出駅（2代目）

なお、かつて当駅と打出駅（初代）の間には、和合ノ浦駅（わごのうらえき）という駅が存在していましたが、1929年（昭和4年）7月9日に開業し、わずか2年後の1931年（昭和6年）6月4日には廃止されています。

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