富岩鉄道

富岩鉄道株式会社の歴史

富岩鉄道株式会社は、かつて日本に存在した私鉄であり、現在の富山地方鉄道富山港線がその前身です。1896年の設立を目指す動きから始まり、1941年に富山電気鉄道に事業を譲渡し、その歴史を終えました。

設立の背景

日清戦争後、日本各地で私鉄の建設が進む中、1896年2月27日、富山市と東岩瀬町間を結ぶ鉄道の設立を目指す「富山鉄道」が発起されました。しかし、同年中に免許申請は行われず、翌年には失効しました。

その後、1921年、東岩瀬港と富山市を結ぶ鉄道計画が具体化し、加藤金次郎らの発起によって富岩鉄道が設立され、1923年には運輸営業を開始しました。富山口駅から岩瀬港駅（現在の岩瀬浜駅）間の路線が開通し、初の旅客運輸が開始されました。

工業発展と鉄道の需要

1920年代後半には、東岩瀬港周辺において多数の工場が建設され、臨海工業地帯として発展しました。これに伴い、鉄道による貨物輸送の需要が高まりました。1917年から1929年にかけて神通川の改修工事が行われ、港の利便性向上が図られました。

また、1931年4月には東岩瀬町内に埠頭に通じる支線の免許が下付され、1936年には西ノ宮信号所から岩瀬埠頭駅（後の富山港駅）までの貨物線が開業しました。これにより、さらに貨物輸送が強化されました。

第二次世界大戦と国有化

1937年からは富山電気鉄道の支配下となり、1941年12月には事業を同社に譲渡し、解散。これ以降、富山地方鉄道としての運営が継続されます。歴史の中で、1942年には富岩線が国有化され、鉄道省富山港線として営業を始めることになります。

路線と車両

富岩鉄道の主な路線は、富山駅から岩瀬浜駅までの8.2kmの区間で、貨物専用線も複数存在しました。運営していた車両には、電気機関車2両、電車4両、客車2両、貨車39両などがあり、国有化とともに鉄道省に引き継がれました。

特に、電気機関車は1937年に製造されたロコ1、ロコ2などがあり、蒸気機関車も複数存在しました。貨車も木製や鋼製の様々なタイプが用意され、運輸活動を支えていました。

結論

富岩鉄道は、富山市と東岩瀬町を結ぶ重要な鉄道として、地域の工業発展に大きく寄与しました。時代の変遷とともに、富山電気鉄道や国家にその役割を引き継ぎながら、その歴史は現在も富山地方鉄道の一部として生き続けています。

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