囮飛行機

囮飛行機（おとりひこうき）

囮飛行機は、第二次世界大戦中、大日本帝国海軍が連合国の攻撃から日本本土を守るために開発した航空機型のデコイです。この機体は特に1945年に急速に開発され、敵の航空機に誤認を引き起こす役割を担いました。

開発の背景

1945年3月、連合国の艦載機が日本に対する攻撃を開始した際、海軍は急遽、地上に駐機する形で敵機を欺くための囮機の制作を決定しました。この取り組みは、山本晴之技師の指導のもと、少数の機体が開発された結果、零式艦上戦闘機、陸上爆撃機「銀河」、一式陸上攻撃機を模した三種類の囮飛行機が正式に完成しました。これらはそれぞれ、「MXY9」から「MXY11」という略符号が付けられています。

製造過程と特徴

製作は、天童木工などの工場で行われましたが、その時期には戦局が厳しく、十分な資源と時間が確保できない状況でした。そのため、囮飛行機の質や制作体制は必ずしも理想的ではなく、工事の不全がいくつか見られました。機体は全て木製で、分解可能な構造を持ち、胴体と主翼の上面には合板が張られていましたが、下面は骨組みが露出していました。胴体と主翼の接合部には、トラス構造に草や枝が覆い被せられ、外見上は真の航空機に見えるよう工夫されていました。

急速な製造が求められた結果、工作不良もある程度許容されることとなりましたが、これは同時期に製造されていた他の兵器、特に落下槽の質にも悪影響を及ぼしました。結果として、囮飛行機が果たした戦略的意義や効果については、戦後の記録が乏しく、不詳な部分が多いのが実情です。

陸軍の動きとその他の囮機

海軍だけではなく、大日本帝国陸軍も同様の目的で木製囮機を開発しました。1945年2月には一式戦闘機を模した「GI型機」、さらに同年6月には四式重爆撃機を模した「GII型機」が実用化されました。そして、これらの軍用デコイは工芸指導所第3部の明石一男や芳武茂介らによって開発されたもので、正規の部品を使用しない無規格な囮機も多数存在しました。

結論

囮飛行機の開発は、戦争末期の日本における航空戦略の一環であり、敵に対する欺瞞の手段として重要な役割を果たしました。その実績については、詳細が残されていないものの、このような取り組みが行われた背景には、軍事的な緊迫感と必要性があったことがうかがえます。

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