国会議員 (イギリス)

イギリス国会議員：国民の代表としての役割と制度

イギリスにおける国会議員（Member of Parliament, MP）は、国民から選挙で選ばれ、庶民院で活動する代表者です。本稿では、その選挙制度、立候補資格、議員としての責務、そして称号について詳細に解説します。

選挙制度

イギリスの庶民院には650議席があり、単純小選挙区制によって、全国各地の選挙区から1名ずつ議員が選出されます。総選挙は、2011年議会任期固定法に基づき、原則として5年ごとに5月の第一火曜日に実施されます。ただし、議会の承認を得れば、日程の前倒し開催も可能です。2017年と2019年の総選挙は、この規定に基づき前倒しで行われました。議員の辞任や死去により欠員が生じた場合は、補欠選挙が実施されます。

また、Representation of the People Act 1981では、1年以上の実刑判決を受けた議員は自動的に失職すると規定されています。軽微な不正行為に関しても、Recall of MPs Act 2015に基づき、選挙区の有権者10％以上の署名が集まれば、リコール請求が可能です。請求が認められれば、議員は解職されます。

立候補資格

かつては資産のある成人男性のみが立候補資格がありましたが、1918年には女性にも選挙権と被選挙権が認められました。現在、庶民院議員に立候補するには、18歳以上でイギリス、イギリス連邦、またはアイルランドの市民権を持つことが必要です。有権者登録は必須ではなく、居住地の制限もありません。

ただし、1975年庶民院資格剥奪法により、特定の公職にある者は立候補できません。公務員、警察官、軍人、判事、貴族院議員、そしてイギリス連邦やアイルランド以外の立法府の議員などはこれに該当します。さらに、Northern Ireland (Miscellaneous Provisions) Act 2014により、ウェールズ議会と北アイルランド議会の議員も立候補資格がありません。破産宣告を受けた者や、1年以上の実刑判決を受けている者も立候補できません。

称号

国会議員は、MPという称号を使用することができます。貴族の子女である議員は、庶民院での議論において「honourable」の敬称で呼ばれます。枢密院顧問官を務める議員は、「The Right Honourable (The Rt Hon. or Rt Hon.) 氏名 MP」という称号を使用します。

議員の責務

現代の議員には、大きく分けて2つ、もしくは政党所属の場合は3つの責務があります。第一は、国益のために行動することです。第二は、国益を損なわない範囲で、選挙区の利益のために働くことです。そして、政党所属議員には、これらの責務に加え、政党の利益のために行動する責務も課せられます。これらの責務は、優先順位において国益が最優先され、政党の利益はその次に位置付けられます。

関連事項

2019年イギリス総選挙で選出された議員の一覧
イギリスの議会の選挙区
スコットランド議会議員
ウェールズ議会議員
* 北アイルランド議会議員

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