国務省長官 (ローマ教皇庁)

国務省長官：ローマ教皇庁の要

国務省長官（Secretarius Status Sanctitatis Suae）は、ローマ教皇庁国務省の長であり、教皇の最上級顧問として活動する枢機卿です。教皇庁の内政および外交活動全般に責任を負う、非常に重要な役職です。ただし、バチカン市国の領域における行政権は、バチカン市国委員会議長が担います。

職務と役割

国務省長官は、教皇の信任のもと、以下のような役割を担います。

教皇の外交顧問：諸外国との関係構築、条約締結、国際会議への参加などを通じて、教皇庁の外交政策を推進します。
教皇庁の内政に関する責任：教皇庁内の様々な部門を監督し、組織運営を円滑に進めます。
教皇への助言：国内外の情勢に関する情報を提供し、教皇の意思決定をサポートします。

教皇が死亡または退任した場合、国務省長官も共に退任します。ただし、使徒座空位中には、カメルレンゴのメンバーおよび使徒座空位期間事務局の長官として、教皇の権限を一部行使します。新教皇が即位すると、元長官は再任される可能性もあります。

歴史

国務省長官の起源は、16世紀初頭に教皇レオ10世によって創設された秘書長に遡ります。当初は外交使節団との連絡やその他の外交業務を処理するための役職でしたが、当時は閑職であり、教皇の親族がその地位を占めることが多くありました。

しかし、ユリウス3世の時代にインノチェンツォ・チョッキ・デル・モンテが甥の枢機卿に就任したことで、国務省長官が職権に分担されるようになりました。その後、インノケンティウス10世の治世には、枢機卿が国務省長官に就任することが慣例となりました。

1692年、インノケンティウス12世は、勅書「ロマーヌム・デチェット・ポンティフェチェム」において、教皇が親族に利権を譲渡することを禁止しました。これにより、国務省長官の職権が強化され、教皇庁内でより重要な役割を担うようになりました。

1973年には、教皇パウロ6世が教皇庁尚書院を廃止したことに伴い、尚書院が保持していた教皇勅書の権限も国務省長官に引き継がれました。

近代以降の国務省長官

近代以降、多くの枢機卿が国務省長官を務めてきました。その中には、在職中に亡くなった者もいます。

歴代の国務省長官については、以下の資料をご参照ください。

ローマ教皇庁公式サイト
関連書籍

関連項目

ローマ教皇庁
バチカン市国
枢機卿

国務省長官は、教皇庁において重要な役割を担う役職であり、その歴史と職務を理解することは、教皇庁の組織構造や運営を理解する上で不可欠です。

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