国務院台湾事務弁公室

国務院台湾事務弁公室（こくむいんたいわんじむべんこうしつ、略称：国台弁）は、中華人民共和国国務院に直属する事務機構であり、台湾との関係事務や関連研究を主な業務としています。この組織は、中国共産党中央台湾工作弁公室（略称：中台弁）と実質的に一体の組織として機能しており、用途に応じて二つの名称を使い分けています。

具体的には、国台弁は中国国内向けの政策発表や活動において使用され、一方の中台弁は台湾の政党や政治家との交流、対話の際に用いられます。また、中台弁は中央対台工作指導小組の事務機構としての役割も担っています。この二つの組織は、中国の対台湾政策を推進する上で重要な役割を果たしています。

中国は「一つの中国」という原則を掲げているため、政府機関同士が直接交渉を行うことが難しい状況にあります。そのため、国台弁は窓口機関として海峡両岸関係協会を別途設置し、台湾側の窓口機関である海峡交流基金会を通じて、台湾政府（大陸委員会）との交渉を行っています。この仕組みにより、中国と台湾間の公式な対話が実現されています。

2009年6月には、台湾との政党間交流を強化するため、国台弁内に「政党部」が新設されました。これは、特に台湾の民進党との対話を促進する狙いがあると見られています。この動きは、中国が台湾の主要政党との関係を深め、影響力を拡大しようとする意図を示すものと解釈できます。

しかしながら、2017年12月には、台湾当局が国台弁から資金援助を受けていたとして、台湾の政党である新党の複数の幹部を捜査・拘束する事件が発生しました。この事件は、中国と新党からの強い反発を引き起こし、両岸関係における緊張の一因となりました。この出来事は、中国による台湾への影響力行使に対する台湾側の警戒感を浮き彫りにしました。

歴代の国台弁主任は以下の通りです。

丁関根（1988年－1990年）
王兆国（1990年－1996年） - 全人代常務委員会副委員長、中華全国総工会主席。
陳雲林（1997年－2008年）
王毅（2008年－2013年） - 外交部長、外交担当国務委員
張志軍（2013年－2018年）
劉結一（2018年－2022年）
宋濤（2022年－現任）

これらの歴代主任は、中国の対台湾政策の変遷を反映しており、その任期中の活動は両岸関係に大きな影響を与えてきました。

関連事項

海峡両岸関係協会: 国台弁の窓口機関として台湾側との交渉を担当。
中台関係: 中国と台湾間の政治、経済、文化的な関係。
台湾省 (中華人民共和国): 中華人民共和国が主張する台湾の行政区画。

外部リンク

* 国務院台湾事務弁公室（中国語）

国務院台湾事務弁公室は、中国の対台湾政策において中心的な役割を担う機関であり、その動向は両岸関係の安定に大きな影響を与えます。今後の動向も注視が必要です。

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