国境事変

国境事変

『国境事変』は、日本の作家・誉田哲也による警察小説で、シリーズの第4作目にあたります。この作品は、先に発表されたジウ三部作に登場する東弘樹刑事を中心に展開されるスピンオフ的な要素を持っています。2007年11月に単行本が出版され、2010年には中公文庫としても刊行されました。また2024年には新装版も発売され、幅広い読者層に支持されています。

あらすじ

物語は東京都で発生した在日朝鮮人の殺人事件から始まります。捜査一課に所属する刑事・東弘樹は被害者の弟である英男や事件に関わる周囲の人々から事情を聴取していく中で、不審な人物「アンドウ」との接触に至ります。そして同時に、警視庁公安部の川尻も英男を情報提供者として扱う一方で、捜査が進展するにつれて自身の職務に疑問を抱くようになります。このような中で、単なる殺人事件が波紋を広げ、国家の枠を超える大規模な事変へと発展していく構造になっています。

登場人物

警察官たち

• - 東 弘樹（あずま ひろき）: 警視庁捜査一課に所属し、47歳の警部補。彼は歌舞伎町封鎖事件の捜査で高い評価を受けており、警視総監賞と警察庁長官賞を獲得しています。堅物な性格から同僚からも敬遠されることが多いですが、事件解決への情熱は誰にも負けません。

• - 川尻 冬吾（かわじり とうご）: 35歳の警視庁公安部外事二課の捜査官。在日朝鮮・韓国人を中心とした案件を担当し、本名では呼び合わない職場風習の中で「あだ名のアントン」と呼ばれています。英男の連絡役として活動しています。

• - 前田（まえだ）: 外事二課四係の班長で、37歳。あだ名は「モグ」で、東侑エンタープライズを注視している重要人物です。

• - 広瀬（ひろせ）と荒巻（あらまき）: 外事二課の同僚たち。どちらも異なった特性を持つ巡査部長で、捜査において互いに協力し合います。

その他の人物

• - 若松 吉男（わかまつ よしお）: 殺害された被害者で、32歳。在日三世の朝鮮籍を持つ。彼の存在が事件の核心に迫る重要な役割を果たします。

• - 若松 英男（わかまつ ひでお）: 吉男の弟で、兄と共に音楽活動を行うが、捜査の過程で様々な立場を取り巻く複雑な状況に巻き込まれます。

• - 川口（かわぐち）: 陸上自衛隊の隊長。一等陸佐として登場し、事件の背景に隠された政治的な意図に関わる重要人物です。

• - 朴 大容（パク デヨン）: 元北朝鮮の高官で、暗殺計画という緊迫した背景を持つキャラクターです。

書籍情報

この小説は、2007年11月に刊行された単行本を皮切りに、2010年には文庫版として登場しました。さらに、2024年3月には新装版も発行され、長く愛され続ける一冊となっています。警察小説の醍醐味を味わいたい方々には、ぜひ手に取っていただきたい作品です。

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