情報提供者

情報提供者とは

情報提供者（インフォーマント）とは、ある人物や組織に関する内部情報を、捜査機関や情報機関などの別の組織に提供する人物の総称です。情報屋、連絡員、協力者、タレ込み屋などとも呼ばれます。英語では、informer、contact man、assetなどの言葉が使われ、stool pigeon（おとり）といったスラングもあります。

密告者や内通者と呼ばれる場合は、情報を漏らされた側の立場から批判的なニュアンスが込められます。また、スパイと見なされることもあります。一方、内部告発者は、所属する組織の不正を是正するために告発を行う、善意的な行為を指すことが多いです。

情報提供者の概要

情報提供者は、主に法執行の分野で用いられ、公式には「秘密情報提供者（confidential informants）」や「犯罪情報提供者（criminal informants）」と呼ばれます。組織犯罪、政治、経済、学術分野でも用いられます。アメリカでは、情報提供者の利用に関する運用基準が存在します。

情報提供者は、組織犯罪に関連する人物や、その組織内部の人物であることが多く、自身の罪を軽くしてもらうために情報提供を行うことがあります。金銭や警察の捜査協力と引き換えに、組織に潜入し情報を提供することもあります。また、組織のメンバーが逮捕された後に情報提供者になることもあります。

CIAは、薬物売買の元締めや殺人犯を情報提供者として利用するために、犯罪行為を見過ごし、多額の資金を提供することがあります。情報提供者は、以前所属していた組織からは裏切り者と見なされ、脅迫や暴力を受けるリスクがあるため、保護される必要があります。

情報提供への謝礼

情報提供者は、捜査機関から謝礼を受け取ることがあります。有名な例として、アメリカ国務省外交保安部の「正義への報酬プログラム」があります。また、2008年のリヒテンシュタインの脱税スキャンダルでは、情報提供者がドイツ政府から多額の報酬を得ています。

労働運動と情報提供

企業や興信所は、労働組合や労働運動を監視するために、労働スパイと呼ばれる情報提供者を雇うことがあります。情報提供者は、労働組合の弱体化や破壊を目的として活動します。

政治と情報提供

古代ローマ時代にも、政治的な動機による情報提供が行われていた例があります。犯罪における密告は、政治的な攻撃の隠れ蓑として利用されることもあります。

刑事施設内の情報提供者

刑事訴訟上の被告人は、自己の刑を軽くするために、監獄内で得た情報を法廷で証言することがあります。このような「監獄内の情報提供者」は、公判で重要な役割を果たすことがあります。

情報提供者に関する専門用語とスラング

情報提供者を指す言葉には、以下のようなものがあります。

チーズ食み: ネズミのこと
フィンク: 私服捜査員やスト破り
グラス、スーパーグラス: デカ、密告者
ナーク: 麻薬取締局員
ラット: 密告者
スニッチ: 密告者
スツールピジョン: おとり
テルテイル: 暴露
イヌ、チンコロ: マッポのイヌ

有名な情報提供者

ウィリアム・マーク・フェルト（ディープ・スロート）
サミー・グラヴァーノ
ヘンリー・ヒル
フランク・ルーカス
ジョゼフ・ヴァラキ
サルヴァトーレ・ヴィタレ
ジェラルド・カーティス
サイード・トーレス

大衆文化における情報提供者

映画「波止場」
映画「男の敵」
スノーの楽曲「インフォーマー」

日本における情報提供者

日本でも、捜査機関が情報提供者を活用することがあります。また、1971年には、新聞記者が外務省職員から機密資料を入手した事件が発生しています。

関連項目

わな掛けの法理
教唆する捜査官
アギラー＝スピネッリ試験
対テロリズム
スパイ活動
ヒューミント
おとり[[捜査]]
ハリウッド・ブラックリスト
ペンティート
司法取引
共犯証言
連邦保安官
内部告発
証人保護プログラム
密告
サクラ
* インフォーマント（文化人類学・言語学）

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