国境対馬振興特別措置法案

国境対馬振興特別措置法案とは

国境対馬振興特別措置法案、通称「防人の島新法」は、日本の国会で議論されているものの、正式に提出されたことはない法案です。この法案は、対馬が抱える特有の状況に対処するため、離島振興法とは異なる特別な措置を講じることを目指しています。

法案の背景

法案提唱の背景には、以下の要因があります。

韓国資本による土地買収: 対馬の土地の一部が韓国企業によって所有されており、中には自衛隊や海上保安庁の施設に隣接する土地も存在します。これらの土地買収は、安全保障上の脅威となる可能性が指摘されています。
対馬の経済状況: 対馬は経済的に困窮しており、現行の離島振興法だけでは十分な振興効果が得られないと考えられています。

法案の概要

法案では、主に以下の対策が検討されています。

第一次産業や観光振興への特別措置: 対馬の基幹産業である第一次産業や観光業を活性化させるための特別な措置を講じます。
地方債（国境離島債）の創設: 対馬の振興に必要な資金を調達するため、新たな地方債を発行します。

法案提唱の経緯

法案提唱の背景には、歴史的な経緯や近年の状況変化があります。

李承晩ライン: 第二次世界大戦後、韓国の李承晩政権は、対馬を「日本によって強制的、不法に占領された」として、日本からの割譲を要求しました。
対馬の日条例: 2005年、韓国の馬山市議会は、対馬が韓国領土であることを内外に知らしめることを目的とした条例を可決しました。
軍事侵攻計画: 2007年、元韓国海軍作戦司令官が、対馬への軍事侵攻計画を韓国政府に進言しました。
対馬返還要求決議案: 2008年、韓国の国会議員が、日本に対馬を返還するよう求める決議案を提出しました。
韓国人観光客の増加と土地買収: 2008年頃から、対馬への韓国人観光客が急増し、韓国のリゾート業者による土地の大量買収が行われるようになりました。こうした動きは、韓国における「対馬は韓国の領土である」との主張と結びつき、対馬が実質的に韓国の支配下へ置かれる危険性が高まっているとの懸念が生じました。

これらの状況を受け、日本の超党派の議員グループが法案の起草に着手しました。

法案を巡る議論

法案の制定を主張する議員グループは、政府に対して詳細な実態調査を求めています。しかし、当時の内閣総理大臣は、外国資本による土地の購入規制を含む措置に対して、慎重な姿勢を示しました。

また、議員団が安全保障上の観点から立法の必要性を強調していたのに対し、対馬市商工会との意見交換では、円高により韓国からの観光客が減少したことで経済が停滞していることを問題視し、振興策を求める意見が出席者より相次ぐなど、議員グループと地元住民の間では、問題認識に差があるのではないかとの指摘もされています。

テレビ番組では、地元住民が観光客として訪れる韓国人のマナーの悪さや、釜山を始め対岸の都市からの漂着ごみの問題などが取り上げられました。

その後の動き

その後、対馬だけでなく有人国境離島全体の振興を目的とした法案が提出され、成立しました。さらに、国境離島を特別注視区域とし、土地売買の事前届け出を義務付ける法律も成立しています。

関連情報

外国人土地法
離島振興法
沖縄振興特別措置法

もう一度検索